パ・リーグはソフトバンクが優勝を決めましたが、対するセ・リーグはここに来ても大混戦を展開しています。各チームのファンが目を離せない優勝争いと同時に、今季、大きく注目されるのはソフトバンク柳田、さらにヤクルト山田の2人でしょう。

 しかし「超人ギータ」の異名で知られる柳田はもちろん、大阪・履正社の先輩をもじって、業界で「T-山田」と言われていた男とは思えぬ大出世です。

 ともにここまでの成績で、3割30発30盗塁の「トリプルスリー」達成が間違いない状況。両リーグそれぞれで達成者が出るのは2リーグ分立元年の50年に松竹岩本、毎日別当のレジェンドが達成して以来ということですから、これは、すさまじい。

 私の記者生活の中でトリプルスリーを目撃したのは15年前の00年、当時広島の金本(現野球解説者)でした。29本塁打からあと1本が出ず、もうダメかと思っていましたが、シーズン最終戦となったヤクルト戦(神宮)で30号を放ち、なんとか達成したものでした。

 私事(?)ですが、そのとき、私が書いた原稿を広島球団が気に入ってくれ、日刊スポーツに掲載された記事を英訳、その文字を並べたデザインのTシャツを販売しました。広島は当時からそういうことをやっていたのです。

 ちなみにギャラのようなものはまったくなく、球団からの謝礼はそのシャツ10枚。「読者プレゼントにしてください」と渡されたのを覚えています…。プレゼントしましたけど(笑い)。

 脱線しましたが、当時、金本は「本塁打が一番簡単だと思っていたのにこんなに苦労するとは…」と心境を語っていました。思うに任せないのは人生も、野球の成績も同じということでしょうか。

 さらによく覚えているのは次のセリフです。

 「これまでトリプルスリーを達成した方は6人(当時)いらっしゃいますが、2度やった人はいません。ボクはそれをやりたいんです」。なるほどと思いましたが、あの鉄人にしてそれは実現しませんでした。金本の後に達成した松井稼(楽天)はまだ現役ですが、さすがにどうでしょうか。

 だが、しかし。柳田と山田の2人は、年齢的に見ても十分、その可能性がある。来季以降、2度目の達成となれば、本当に業界の常識を変えてしまう男になるのは間違いない。今からそんな楽しみを持っているのです。