高校野球の強豪、天理(奈良県天理市)の野球部で、3年生が2年生部員を殴ってほお骨を折るなどのけがを負わせる暴力行為があったことが分かり、同高校は23日、第93回全国高校野球選手権奈良大会の出場を辞退すると発表した。同日付で、県高野連に辞退届を提出した。

 天理高校によると、1日夜、室内練習場や寮などで、3年生4人が練習中の態度に問題があったとして2年生3人を殴り、うち1人に右ほお骨折や耳の鼓膜が破れるけがを負わせ、他の2人にも軽傷を負わせた。さらに殴った2年生に「『練習中にボールが当たった』と言え」と口止めをした。

 野球部の部長が翌日、2年生1人のけがに気付いたが、「ボールが当たった」との説明を真に受けていた。17日朝に「トラブルがあったんじゃないか」と匿名の電話があり、3年生に問いただし、暴力行為が発覚した。

 同校野球部は春の選抜高校野球大会に21回、夏の全国高校野球選手権大会は25回出場し、春夏で計3度優勝。昨秋と今春の近畿大会を制した。3年生4人は、いずれも今春の選抜で2回戦敗退した際のメンバー。

 飯降成彦校長は記者会見し「申すべき言葉もない。おわびします」と謝罪。部長や監督を交代させる一方、3年生4人は無期限停学処分にしたと明らかにした。

 今夏の選手権大会では、仙台育英(仙台市)の野球部員7人が建造物侵入容疑で書類送検されたほか、滋賀県立北大津(大津市)でも部員が道交法違反の疑いで逮捕されたが、日本高野連は両校の地方大会出場を許可している。