高校球児のプロ志望届提出が15日、締め切られた。昨春センバツ優勝、今夏の甲子園準優勝の原動力となった常葉学園菊川(静岡)戸狩聡希投手(3年)は、プロ志望届を提出せず、社会人野球の名門・ヤマハでプレーしたい意向を明らかにした。プロのスカウトからも注目されていたが、今夏に左ひじを痛めたことなどから、社会人野球で腕を磨くことを決意。将来のプロ入りを目指すことになる。

 プロのスカウトからも熱視線を浴びた戸狩が、社会人野球でのプレーを希望した。この日、プロ志望届を提出せず、12月にもヤマハの入社試験を受けることを明かした。「都市対抗に5年連続で出ていて、東海でトップクラス。全国で通用するチームだと思う」と希望理由を話した。

 変化球の切れと抜群の制球力を武器に、1年夏から活躍した。左腕から繰り出す直球の最速を141キロまで伸ばし、静岡県勢戦後初となる4季連続甲子園出場の原動力となった。甲子園では優勝、準優勝を経験し、通算5勝。以前はプロ入りを熱望していたが、夏の甲子園大会直前の練習で左ひじを痛めて方針転換。16日に病院で検査を行うが「プロに行っても、万全な状態でないとついていけない。社会人で実績を残して、体力とか技術をアップしてから」と、3年後のドラフト指名を狙う。

 高校時代の最大の思い出は、ひじを痛めながらも決勝まで投げ抜いた今夏の甲子園。「エースだから投げたかった。準優勝できたし、後悔してないです。けがをして、逆に良かった。ケアやストレッチが大事だと学べたので。球が遅くても抑えられ(投球は)スピードではないとあらためて思った。仲間と決勝まで行ったことは本当にうれしかった」。登板を直訴し、ひじをサイドスローにまで下げながら懸命に投げた。高校生活に悔いを残さなかった。

 ヤマハは4年ぶりの日本選手権出場(11月13日開幕、京セラドーム大阪)を決めており、戸狩も観戦に出向く予定。「ひじが治れば1年目から投げるつもり。全国を代表するぐらいの投手になりたい」。ヤクルト西村、ロッテ吉田らドラフト1位投手を輩出している名門で腕を磨き、社会人NO・1投手を目指す。【斎藤直樹】