第94回全国高校野球選手権の北北海道・北見地区の組み合わせが15日、決まった。女満別の145キロ右腕・二階堂誠治投手(3年)は力任せから緩急をつける投球に進化させ、チームを春夏甲子園出場へと導く。21世紀枠で初出場した春のセンバツから、この夏は実力で代表権を奪いに行く。この日で全道10地区すべての組み合わせが決まり、23日の南北海道・函館地区を皮切りに熱戦が始まる。

 二階堂のワクワクする夏がやってきた。この日午後、抽選結果を知らされると「最後とか相手どうこうより、普通にやりたいですね」。いつもの笑顔でさらりとかわした。前日は、自分の体調に合わせた最終調整、学校グラウンドで1人、コンクリート壁に向かって投げた。「投球フォームの確認、体のバランスとかを考えています」。軽い投球を100球ほど行った。

 「状態は万全です」と本人からは自信の言葉が出た。女満別の鈴木収監督(43)も「下半身を鍛えるという大きな方針以外、細かなことは言いません」。順調に育ってきたエースを信頼しきっている。自分の感覚を大切にする調整法。センバツ甲子園では試合前日はわずか15球投げて終了した。夏も自分流を貫く。

 1年春に初登板以来、公式戦は22試合投げた。センバツ甲子園での敗戦後は公式戦3勝無敗、力任せの投球から緩急を使う投球に進化した。大きなケガもなく夏を迎えられたのは、天性の体の柔らかさがあったからだ。「四股を踏ませたら、柔軟性のすごさが分かりますよ」と同監督が驚く。

 女満別に進学したきっかけとなった兄僚さん(19)が旭川大で全日本大学選手権に出場、神宮の地を踏んだ。昨夏は北北海道大会準決勝で敗退し、兄弟一緒の甲子園出場は果たせなかった。だが、大学で活躍する兄を見て、少し心が軽くなった。

 夏の初戦は26日1回戦で対戦する紋別に決まった。抽選会場で主将の平田悠人捕手(3年)は「二階堂のベストピッチングを引き出し、全試合圧勝したい」と強気だった。【中尾猛】