<春季高校野球北海道大会:旭川龍谷9-0旭川高専>◇13日◇旭川地区2回戦◇旭川スタルヒン

 15年ぶりの春全道を目指す旭川龍谷が7回コールドで旭川高専を下し、初戦を突破した。先発したエース左腕の大橋寛章(3年)が5回4安打9奪三振の好投で、公式戦初采配の高橋健監督(41)に初勝利をプレゼントした。気温約10度と肌寒い中で直球は自己最速タイの141キロを計時。視察に訪れたプロ4球団のスカウトにアピールした。

 5回裏、旭川龍谷の大橋は、高橋監督から「全力で行って来い」と送り出されもう1段ギアを上げた。4回まで直球の球速は130キロ台前半だったが、予定していた最終イニングで、140キロ、続けて141キロをマークした。「気になって、見ちゃいました」と大橋。高橋監督も「(球速は)『見るな』と言っているのに、他の選手に声をかけるふりをして見るんだから、しかたない」と苦笑いだ。

 8年ぶりに出場した昨秋の全道大会で、チームを8強に導いた。札幌円山球場で最速141キロを出した180センチ左腕の成長を見ようと、この日は巨人、DeNA、広島、西武の4球団のスカウトが視察に訪れた。気温10度の悪条件で昨秋と同じ球速を記録。毎回の9奪三振の内容に、巨人の柏田スカウトは「まだ腰の回転だけで投げている状態。下半身がしっかりしてくれば、もっと良くなる」と、将来性を評価した。

 最終学年。残り2大会がアピールの舞台だ。「春はまず全道。夏は甲子園。そしてプロも意識しています」と力強い。昨年12月から、雪上を毎日10キロ以上走ってきた。太ももは昨秋に比べ3センチ太くなった。9三振のうち、8個を伸びのある直球で奪った。目標は今季からメジャーでプレーするカブス藤川球児投手。「藤川さんのように、直球で三振を取ることにこだわりたい」と話す。

 現在の体重は90キロ。この日はバント処理でややもたつくシーンもあった。大橋は「夏までに5キロは落とします」と課題を挙げた。春から夏にかけて流す汗で、夢をつかみ取る。【中島洋尚】

 ◆大橋寛章(おおはし・ひろあき)1996年(平8)2月24日、旭川生まれ。旭川愛宕東小5年の時に愛宕東スーパースターズで野球を始め、最初は外野手。旭川愛宕中で投手と外野手。旭川龍谷では1年秋にベンチ入り。家族は両親と姉。180センチ、90キロ。左投げ左打ち。