<高校野球山口大会:高川学園8-1下関商>◇25日◇準々決勝◇西京スタジアム

 多々良学園から06年9月に校名が改称された高川学園が下関商に7回コールド勝ちで3年ぶりの4強進出を果たした。入学以来、公式戦負け知らずの「幸運くん」がいる。「1番・捕手」で起用される長谷川和輝捕手(1年)だ。この日も3安打を放つ活躍で、春から出場の公式戦11連勝を飾った。

 打撃では徹底して逆方向を狙う。1回に右前打を放つと先制のホームを踏む。2回にも右前打で出塁。6回無死三塁では右前適時打で打点を挙げた後、盗塁を決めた。その後は犠飛で3度目の本塁を陥れた。3安打3得点1打点に1盗塁。「自分が出塁することと、走者を進めることだけを心がけて打席に入っている」。いたってシンプル。チームに貢献することを、がむしゃらに挑む。

 捕手としてもエース浜本翔投手(3年)をもり立てて、7回1失点の好投を引き出した。「しっかり投げてもらっているので、無駄な出塁をさせないようにしている」と話す。

 中学時代はほぼ投手、たまに捕手だった。中野泰造監督(58)が練習で見たのは捕手のときだった。「入学したときに捕手で起用する、という話をした。上級生も長谷川の能力を認めて見守ってくれている」。今や欠かせない存在だ。

 浜本は「サインは長谷川が出しているが、首を振ることが多い」とリードには手厳しい。長谷川は指揮官に「捕手として引っ張る気持ちでやれ、と言われている」とハッパを掛けられている。発展途上の1年生正捕手の伸びしろは限りなく広い。【中牟田康】

 ◆長谷川和輝(はせがわ・かずき)1997年(平9)5月11日、山口県防府市生まれ。小3に玉祖(たまのや)野球スポーツ少年団(軟式)で野球を始める。中学では高川学園シニア(硬式)で投手兼捕手。高校入学直後から背番号「2」。50メートル走6秒3。172センチ、72キロ。右投げ右打ち。