<高校野球福岡大会>◇7日◇1回戦
「九州NO・1左腕」福岡大大濠のエース川原弘之(3年)が最後の夏を慎重に滑り出した。10球団のスカウトが見守る中、1回戦で福岡中央を8安打1失点完投。自己最速144キロの速球は140キロ止まりだったが、チームは5-1で確実に勝利を決めた。昨年優勝の飯塚、福岡工大城東も初戦を突破。
最後の打者を3個目の三振で締めくくると、ようやく川原弘が笑った。「調子は良かったんですけど、緊張していつもの自分と違うと思いました」。最後の夏の怖さを痛感した。
緊張感に縛られながら慎重に、夏の初戦をクリアした。球速は自己最速の144キロに及ばぬ140キロ。もともと中盤から調子を上げるスロースターターだが、球に本来の力が戻ったのは後半に入ってからだった。1四球と制球は悪くなかったが、6回までは奪三振0。持ち味の伸びのある直球は影を潜めた。「制球を気にして探るように投げていましたね。追い込んで空振りを取れるような球を投げられたら良かったんだけど」と中野正英監督(51)はこの日のエースを評した。
185センチ、80キロの大型左腕。昨秋の九州大会では今春センバツ優勝の清峰・今村猛(3年)と延長10回まで互角に投げ合い「九州NO・1左腕」にのし上がった。今秋のドラフト候補として注目を集めるが、3年前の主将で明大に進んだ兄の潤一郎さん(21)には「注目されてるようだけど、調子に乗るなよ」とくぎを刺された。この日はネット裏に10球団約30人のスカウトが集結。「緊張していたのでわかりませんでした」と“プロの目”を気にせず、ひたすら投球に集中していた。
昨秋の福岡県大会決勝は九州国際大付に6失点して敗れた。「どこに投げても打たれた。あんなに点を取られたことはないです」。完敗して誓った夏のリベンジ。打力自慢のチームに投げるときは、いつも九州国際大付を意識してきた。「最後は九国大を倒して甲子園に行きます」。兄も果たせなかった甲子園の夢へ。九州NO・1左腕の本領発揮は、これからだ。【前田泰子】


