巨人杉内俊哉投手(34)が、10月にも慢性的な痛みを抱えている右股関節の手術を受けることが16日、分かった。現時点では全治や復帰時期などは不明だが、来季いっぱいをリハビリにあてる可能性もある。12年に巨人にFA移籍し、今季が4年契約の最終年。来年で36歳を迎えるベテラン左腕の大きな転機を、球団も全面協力でアシストする。

 杉内が、長年悩まされてきた右股関節の手術を決断した。今季は17試合に先発して6勝6敗で、防御率は3・95。右股関節の動きが鈍くなって投球時の踏み込みが浅くなり、直球の球速が130キロ前後に落ち込んでいた。治療や調整を工夫してきたが限界に達し、7月23日に戦線を離脱した。本人は「1日でも早く治したいと思います」と前向きに話していた。懸命のリハビリも好転の兆しなく、今後について球団側と検討を重ね、手術による完治を目指すという結論に至った。

 復帰までの期間は、現時点で不明だ。下半身と上半身をつなぐ股関節は、下半身の大きな力をボールに伝達する上で重要な部位。肘、肩との連動性も高く、投球動作をつかさどる“心臓”の役割を果たす。プロ野球選手の術例は少ない。巨人では久保と星野が股関節の手術後1年以内に復帰したが、杉内は長年にわたって痛みをこらえながら登板を重ねていたことから軽症とはいえず、術後も慎重にステップを踏む必要がある。来季いっぱいをリハビリに費やす可能性はある。

 年齢も今年10月で35歳と若くはない。しかし球団は、リスクを含めたあらゆる状況を理解した上で、全面的にバックアップする方針を固めた。12年にソフトバンクからFA移籍し、今年が4年契約の最終年になる。大きな故障もなく先発ローテーションを守り、3年連続2ケタ勝利で通算39勝を挙げ、リーグ3連覇に貢献した力量を評価している。契約を更新して回復に専念させ、再びマウンドで躍動する姿に期待している。背番号「18」の挑戦が始まる。

 ◆股関節を手術した主なプロ野球選手 97年に野村(広島)が左股関節スポーツヘルニアの手術。99年に斎藤隆(横浜)は右股関節を手術した。近年では11年に久保(巨人)が内視鏡で、12年に星野(巨人)、13年に館山(ヤクルト)が股関節唇の修復手術を受け、植松(ロッテ)は鏡視下手術を受けた。野村、斎藤、久保は11月の手術で翌年の開幕に間に合ったが、久保は右肘を痛め2試合で離脱した。館山は6月に手術も、同時期に右肘も手術し、1軍復帰に2年間かかった。大リーグではA・ロドリゲス(ヤンキース)や元広島のルイス(レンジャーズ)が手術を経験している。