7投手のリレーでヤクルト戦の連敗を止めた10日、5回に登板した遠藤淳志投手(27)は1回無失点に抑え、今季初登板からの連続無失点を伸ばした。今季はすでに昨季を上回る8試合に登板し、計9回1/3を投げて4安打1四球9三振、防御率は0・00だ。

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7投手のリレーでヤクルト戦の連敗を止めた10日、5回に登板した遠藤淳志投手(27)は1回無失点に抑え、今季初登板からの連続無失点を伸ばした。今季はすでに昨季を上回る8試合に登板し、計9回1/3を投げて4安打1四球9三振、防御率は0・00だ。

特筆に値するのは、直球の球質向上だ。今季、NPB全体で直球は投球割合の41%だが、遠藤の直球の割合は57%を占める。それでも球種別被打率は1割1分1厘で、長打はまだ1本も許していない。なぜ、遠藤の直球は打たれないのか-。いくつかの要因がある中で、ひとつ明確に分かっているものが、ここ数年、MLBで重視される「VAA」だ。

「Vertical Approach Angle」の略で、本塁上におけるボールの垂直方向への入射角度を表している。通常はマウンドの高さから投げるため、マイナス値(マイナス4~7程度)となる。フラットになる、0に近いほど空振りが奪える傾向があるという。ひと昔前は「角度のある真っすぐがいい」と言われていたが、野球の進化とともに投手に求められるものも変わってきている。

一岡アナリストは「“なんでこの球に手を出すんだろう”“振り遅れるんだろう”と理由を探っていく中で、実は“VAA”の角度が浅いことも要因のひとつだったのかなと思うようになりました」と話してくれた。

日本球界でも注目されており、1勝2敗と負け越した首位ヤクルトで来日1年目からリーグ最多セーブの守護神キハダや西武平良らが浅い「VAA」を記録しているという。遠藤も彼らと同等の数値をたたき出しているのだ。

ただ、遠藤は「VAA」を意識していたわけではない。2年前、藁をもつかむ思いで行ったフォーム矯正がきっかけだった。

1軍に定着できないシーズンが続き、24年には球速が140キロにも満たないこともあった。このままでは終われない-。同年オフに動作解析を行い、腕を下げることを決断した。翌25年春季キャンプで試行錯誤し、3月には151キロを計測した。1年前と比較して10キロ以上球速を伸ばし、自己最速を更新した。

登板を重ねるごとに精度を高めている。今季3試合目の登板となった4月29日巨人戦では1軍では最速の150キロを計測した。昨季の自己最速は一過性のものではなかった。球速だけでなく、ホップ成分や回転数も向上した。そして、球の角度も変わった。

ただ、遠藤がイメージする球の軌道はフラットな真っすぐではなく、ひと昔前の「角度ある真っすぐ」だという。

「自分としては高めへの意識はなくて、低めに投げ下ろして、ホームベースにぶっ刺すイメージなんです。結果(高めに)ふけて空振りとなればいいかなと」

でんでん太鼓のように、体を軸にして腕をばちのようにしならせる。リリース位置は「より打者に近く」ではなく、体を回転させた瞬間に弾くイメージを持っている。「しっくり来ているし、腕がパチンッとハマっている感じがある」。「VAA」を意識したことも、数値を良くしようと考えたこともない。

一岡スコアラーも「強みにするのは違うと思います。結果的に打者から打ちづらい角度になっているほうがいい」と分析する。

新指標を追いかけたわけではなく、新指標の方が後からついてきたようなもの。もともとの肘の柔らかさという特性もあったが、ただ投手として必死にもがいた末に見つけた形が、「VAA」という副産物を生んだ。【前原淳】