偉大な先輩を目指せ! 西武のドラフト6位本田圭佑投手(23=東北学院大)が27日、イースタン・リーグ楽天戦(コボスタ宮城)に先発。勝ち負けはつかなかったが、プロ入り後初の地元凱旋(がいせん)登板で6回6安打2失点と好投した。大学の先輩でバッテリーを組んだ星孝典捕手(33)からは、同大出身のエース岸になれとハッパをかけられた。前日の多和田に続き、東北ゆかりのルーキーが躍動している。

 本田はテンポよく、スイスイと打者をかわした。「凱旋がかなってうれしかった。母や友達、大学の監督も見に来てくれていたし、良いところを見せたいと思った」と高校時代に戦った地元のマウンドは力をくれた。最速は143キロ。伸びのある直球でファウルを奪う。カウントを整えると、あとは決めるだけ。スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップ。多彩な球種で5回まで56球、3安打無失点と抜群の安定感を見せた。

 正念場は6回に訪れた。2点の先制点をもらった直後、3連打などで同点に追いつかれてなおも2死満塁となった。楽天の打者は榎本。初球だった。打ち気になっている相手に投じたのは、チェンジアップ。タイミングを外し、投ゴロに切り抜けた。「2点を取ってもらった勢いでいかないといけなかった。あそこが今日の鍵でした」と反省したが、西武横田久則2軍監督(48)は「逆転されなかったというのは1つの評価」と粘りの内容をほめた。

 “リトル岸”だ。横田監督は「真っすぐの質がいい。ファウルが取れる。ルーキーだがストライクゾーンで勝負ができるというのは大きい。もう1段階、2段階上がって欲しい」と素質の高さを評価。バッテリーを組んだ星も「スタイル的にも岸を目指すべき。持っている球種も一緒だし」と話す。威力のある直球と多彩な変化球をコースに決められれば、エース岸になれると期待を寄せた。

 今後はファームでの先発ローテ定着が当面の目標となる。本田は「今日は先発として最低限の内容だった。長いイニングを0点に近いように抑えたい」と意気込んだ。大学の先輩でもある星は帰り間際に笑いながら後輩にエールを送った。「今はまだ岸の0・6倍くらいだよ」と。大学と先輩の名前に負けないように、汗を流す。【島根純】