やっぱりキャプテンは頼りになる! 巨人坂本勇人内野手(27)が延長12回2死一、二塁で、逆転の2点適時二塁打を放った。完封ペースだった先発菅野が9回に失策絡みで同点にされ、延長12回には田原誠と内野陣の連係ミスで勝ち越し点を献上。自滅による敗色ムード濃厚の2死走者なしから息を吹き返し、主将2年目の坂本が自身9本目のサヨナラ打で、高橋監督に就任後初のサヨナラ白星を運んだ。

 二塁ベース付近でサヨナラの瞬間を見届けると、坂本は両手を広げて駆け寄ってくる仲間を待った。真っ先に来た長野に飛びつくと、あとはもみくちゃにされた。延長12回の逆転2点適時二塁打で、チームは今季初のサヨナラ勝ち。「チームも勢いに乗る。僕が決められて一番うれしい」と声を弾ませた。

 最悪の“負けゲーム”になりかけていた。菅野が完封ペースで迎えた9回、同点で迎えた延長12回と、守備での悪送球で同点と勝ち越し点を許した。6回にも坂本が走塁ミスで追加点の好機を逸していた。だが、気持ちを切らさず、挽回の時を待った。

 延長12回に、願ってもない機会が巡ってきた。2死一、二塁。オンドルセクのフォークを左翼線に運んだ。「最後に取り返せたとは思わないけど、決められて良かった」。敗戦ムードを、歓喜の瞬間に変えた。

 主将1年目の昨季は打率2割6分9厘、12本塁打、68打点と苦しんだ。2年目の今季に向け、決意した。「チームをプレーで引っ張る。変わらなきゃいけない」。打撃フォームを意識的に変えた。体が前に突っ込まないよう、左足を上げるタイミングを遅らせた。足を上げている時間を短くすることで、軸足により体重が乗るようになった。決勝打も、体勢を崩されなかったからこそ生まれた。

 意識も変わった。4月13日から5試合スタメンを外れたが、頭の中では常に相手投手と対戦していた。「配球とか全部、ベンチで考えながら見ていました。『自分がバッターだったら』って」。スタメン復帰後16試合で打率3割9分3厘、7本塁打、17打点。戻ればすぐにチームに貢献したい思いが、結果となって表れている。それでも坂本は「苦しい戦いが続いているけど、キャプテンらしいプレーで引っ張っていけるように」と引き締めた。V奪還の日まで、慢心せずチームの先頭を走る。【浜本卓也】

 ▼巨人が延長12回、坂本の二塁打で今季初のサヨナラ勝ち。巨人が延長戦で逆転サヨナラ勝ちは13年3月31日広島戦(11回=1-2→3-2)以来、3年ぶりだ。坂本のサヨナラ安打は昨年8月20日阪神戦以来9本目で、そのうち逆転サヨナラは10年6月4日日本ハム戦、15年8月1日中日戦に次いで3本目。巨人でサヨナラ安打9本は8本で並んでいた二岡を抜き単独6位に進出した。サヨナラ安打はオンドルセクから。オンドルセクは昨年の巨人戦が15試合無失点、今年も前回まで4試合投げ無失点。初対戦から19試合連続無失点の天敵を打った。