ハプニングだらけのサヨナラ劇場となった。延長11回1死満塁。ヤクルトの代打・三輪正義外野手(32)が好投手・田島のフォークを中前へ運び、3時間42分の激闘に終止符を打った。ところがベンチから飛び出したナインは、本塁へ生還した三塁走者の川端に向かった。「俺は?」とぽかんとするヒーロー。首をかしげながら、自らホーム付近に出来た輪に加わった。「坂口だけ来てくれたんですけど。坂口も『ちょっと空気違うな』って行っちゃって…」。開いた口がふさがらなかった。

 “いじり”はこれで終わらなかった。球場からクラブハウスに戻ると、今度は衣笠球団社長、新専務ら球団幹部からペットボトルの水を全身にかけられた。異例の“祝福”に、三輪は「球団初ですか? ならありがたいです」と、まんざらでもない様子だった。

 “事件”を乗り越え、延長戦に入っていた。3点リードの9回。守護神オンドルセクが失策も絡み、3点を失った。ベンチに戻ると、怒りをぶちまけた。チームの和を乱す行為。真中監督は試合中にもかかわらず、強制的にクラブハウスへ帰した。不穏な空気が漂う中で、三木ヘッドコーチが音頭を取った。10回裏の攻撃前に円陣を組み「やることは変わらない」と、士気を高め直した。

 ドタバタの中で、つかんだ勝利。今季2度目の同一カード3連勝となった。真中監督は「三輪はよく打った。大したもんだ」と、いじられ役の主役をたたえた。【栗田尚樹】