広島新井貴浩内野手（３９）が特大の先制ソロを放った。２回１死から左中間スタンドへ豪快に運んだ。８回まで阪神岩貞の前に打線が放った安打はこの１本だけだった。９回には敬遠でつなぎ、ミラクル勝利を呼び込んだ。チームは９連勝。１軍野手最年長のミスター新井が、広島打線を支えている。

　内角低めのカットボールに体が反応した。新井は高く上げた左足を降ろすと、腕をたたんでクルリと回転した。ため込んだパワーを打球にぶつけると、バットを片手で放り投げた。打った瞬間、本塁打を確信する打球は、左翼スタンド上段コンコースの奥へと消えていった。１軍野手最年長であることを感じさせない、特大の先制５号ソロだった。

　「うまく反応出来ました。うまく打てたと思います。何より結果的にチームが勝ててよかった。みんなで何とかしようという気持ちを持って戦った結果です」

　チームは阪神岩貞に苦しんだ。低めに沈むチェンジアップにバットが止まらなかった。好守にも阻まれ、２得点しながら、８回終了まで放った安打は新井のソロの１本だけ。さすがの一撃だった。ミラクルカープを巻き起こした１点を追う９回には、１死一、三塁で打席に立った。２球ボールを見極めると、阪神バッテリーは立ち上がった。「あとは後輩に託しました」。劇的勝利を喜んだ。

　兄貴的存在の新井。丸や菊池から慕われ、石原や小窪など年齢を問わずに相談役になる。体を張ったプレーで泥にまみれ、後輩を助ける。下水流や鈴木の本塁打には「みんな頑張っている。自分のことのようにうれしい」と言う。緒方監督は親しみを込めて「ミスター」と呼ぶ。赤いユニホームを着る使命感。エネルギーが自然とわき上がる。

　ルナが復帰し、鈴木が好調をキープしてからは６番に座る。恐怖の６番だ。ビッグレッドマシンガンは６番以下がカギを握る。「どんな展開であろうと最後まで絶対に諦めない。何が起こるかわからないから」。そう話す男が座れば、つながるのもうなずける。１８年ぶりの９連勝。一丸のチームが勇往まい進する。【池本泰尚】