主砲を欠いても今季最多の6連勝だ。日本ハムは不動の4番だった中田翔内野手(27)が腰痛などを理由に3年ぶりの欠場。代役4番に座った陽岱鋼外野手(29)が1回に先制適時打を放つなど、小刻みに加点して快勝した。チーム打点王が不在でも、きっちり連勝を伸ばした。

 絶好調男に、4番の重責は関係なかった。陽岱鋼が最初の打席で、期待に応えた。初回2死三塁。「岡がしっかり盗塁してくれて三塁まで行ってくれた。変化球を待って、しっかり打ち返せた」。西武ポーリーノのスライダーをはじき返し、三遊間を抜いた。先制の左前適時打が、決勝点となった。3回は追加点を呼び込む右前打。6試合連続安打に自己タイ記録の6試合連続打点。お立ち台でインタビュアーから「バットが止まりませんね」と問われて「知るか(笑い)」。笑顔で場内の笑いを誘った。

 想定外の4番起用だった。打撃不振と腰痛で中田がスタメンから外れることは察知していた。「大谷翔平が4番だと思っていたので。彼なら、おかしくないでしょ」。練習中には大谷の姿を見かけると「力むなよ」と助言。後輩を気遣ったはずが、試合前練習を終えるとロッカールームのホワイトボードを見て驚いた。打線の中心に自分の名前があった。「正直、びっくりしました」と、短時間でできる限りの準備をした。

 まずは、心を整えた。「いつも通りにやる。自分のスタイルを捨てないように」。甘い球は積極的に打ちに出る姿勢を、己に何度も言い聞かせた。さらに思考も整えた。昨年8月30日ソフトバンク戦以来の4番。助言を求めたのは、中田だった。「4番には、どういう配球が来るのか。外国人投手はインコースに来るとか。やっぱり、来ますね」。生きたアドバイスも生かしながら、マイスタイルを貫いて役目を果たした。

 栗山監督は前夜から、決断していた。「(中田)翔が(腰の状態が)もしダメなら。迷いはなかった」。陽岱鋼も想定していた「4番大谷」という選択肢は「いいえ。ダイカンが4番です」。この10試合で無安打は1試合のみ。39打数17安打3本塁打12打点。打率4割3分6厘という好調さも指揮官の判断に迷いを消した。今季初の6連勝で貯金も今季最多の9まで膨らんだ。【木下大輔】