マツダ“ホット”スタジアムだ! 広島が優勝マジック点灯後、初の本拠地で好調DeNAを一蹴し、マジックを「12」とした。唐辛子をモチーフとした「真赤激ユニホーム」を着用し、2年ぶりのクライマックスシリーズ(CS)進出を、12球団一番乗りで決めた。この1勝で球団タイの本拠地今季40勝。まだ11試合残す同球場は、25年ぶりの優勝へ向け、どこよりもホットな球場となる。

 「鹿児島のじいちゃん、ばあちゃん、今日も俺やったよ!」。ヒーロー松山の決めゼリフに、広島県民が大喜びだ。マジック点灯後初の本拠地試合で圧勝した。40度目のヒーローインタビューに、球場は真っ赤に揺れた。

 松山と丸のかけ合いが、球場中に響き渡った。緒方監督がいる会見室にまで歓喜の声が漏れ響いた。3位以上が決まり、2年ぶり3度目のCS進出が決定。だが一番冷静であるべき指揮官はやはり、あっさり言った。「感想もなにもあるわけない。どこを目指してやっていると思っているんだ」。1戦ごとに気を引き締める姿勢は変わらなかった。

 楽な展開ではなかったが、懸命に逃げ切った。先制点は松山の1発。2回1死一塁から内角低めの直球をさばいた。対DeNA井納は試合前まで48打数20安打で打率4割1分7厘。キラーぶりを発揮し「反応で打てた。詰まったけど、風にも乗ってくれた」と笑った。球場入り前に頭を丸め愛称のアンパンマンにさらに似た顔になった。丸は「松っちゃんは頭を刈ると打つ。ヒゲより短い」と笑っていた。

 口に出すと運気も下がる…。なんとなくナインが避けてきた「優勝」の2文字。だが松山は誰よりも早く、6月後半からはっきりと口にしていた。9年目の30歳。中堅として何が出来るか。笑われても良い。「ポジティブに」。若い世代にかかる重圧を少しでも分散したかった。年下からも「松っちゃん」と呼ばれ親しまれる、いじられキャラ。自慢の打撃はもちろん、グラブにまで「Enjoy!」と刺しゅうを入れる前向き思考で、潤滑油的役割を担ってきた。

 松山、丸に乗り遅れまいと安部は2ラン。リリーフの今村、大瀬良を含め、緒方カープを支える仕事人が輝いた。今季、マツダスタジアム40勝目となり球団最多に並んだ。マジックナンバーはひとつ減って12。ただチームが目指すのは松山が口にしてきた「優勝」だけ。広島の夜空に、万歳三唱が響き渡った。【池本泰尚】

 ▼広島が本拠地のマツダスタジアムで今季40勝目(18敗1分け)を挙げた。広島の本拠地球場40勝は広島市民球場時代の86年(40勝17敗2分け)マツダスタジアムの14年(40勝27敗1分け)に並ぶタイ記録だ。広島は貯金を今季最多タイの28に増やしたが、マツダスタジアムで貯金22を稼いでいる。本拠地はまだ11試合残しており、あと何勝上乗せできるか。また、広島は13、14年に次いで3度目のCS進出が決定。パ・リーグのプレーオフでは05年ソフトバンクが8月21日に出場を決めたが、CSとなった07年以降に8月中の進出決定は両リーグを通じて初めて。