首位再浮上をかけた一戦で、日本ハムは痛い1敗を喫した。楽天戦(東京ドーム)は、先発バースが5回もたずに8失点で降板する大誤算。反撃したい打線は「3番・DH」の大谷翔平投手(22)が5打席ノーヒットとブレーキとなり、中田の5年連続20本塁打となるソロ弾などで2点を返すにとどまった。首位ソフトバンクが西武に勝ったため、ゲーム差は0・5に広がった。

 大谷はベンチと打席を5度、往復した。8回1死満塁の好機に三飛に倒れるなど、3回の第2打席以外はすべて走者がいる場面で、5打数無安打。「(内容が)いい打席もありましたけど、結果的には…。反省して次につなげたいです」。17残塁の拙攻の一因になった。

 6回2死一、二塁の4打席目は、とらえた打球が中堅手の正面に飛んだ。4万人を超えた東京ドーム。歓声はため息に変わった。「完全に(楽天菊池の)失投。あれが外野の頭を越えたり、スタンドに入らないのは、自分の問題かなと思う」。5打席以上立って1度も出塁できなかったのは、今季初めてだった。

 投手での復活は近い。試合前にはブルペンで投球練習。右手中指のマメがつぶれたことに端を発した投球フォームの乱れは、ほぼ修正されているという。栗山監督は「もうすぐ投げる」と復帰を予告。調整登板を挟んでローテに戻したい意向だが、「この状況になったら、『これはナシ』はナシ」と、DH出場からの救援登板など、既成概念にとらわれない起用法も含め、復帰への青写真を描いている。大谷も「それ(復帰が近いこと)は僕も感じている」。すべては野手出場との兼ね合い。だがその好調なバットが、この日は沈黙した。

 初代ファイターズのユニホームを着用した一戦。故三原脩氏が球団社長、中西太氏が監督だった74年前期のもので、両氏を尊敬する栗山監督も「オレにとっても特別」と臨んだが、結果に結びつけることはできなかった。勝った首位ソフトバンクとは0・5ゲーム差。指揮官は「振り返っている時期でもない。明日勝つことを考えるだけ」。ピタリと追走して、最終盤での逆転へ。勝負はまだ先にある。【本間翼】