＜オープン戦：日本ハム４－５楽天＞◇２１日◇東京ドーム

　日本ハムのドラフト１位大谷翔平投手（１８＝花巻東）が「二刀流」デビューを果たした。３点ビハインドで迎えた８回表、４番手としてオープン戦初登板。１イニング１安打無失点で抑えた。バットでもその裏無死二塁の得点機で第１打席に立ち（記録は一塁ゴロ）、投手と野手で大きな一歩を踏み出した。

　東京ドームの歓声がひと際大きくなった。「３番ピッチャー大谷」のアナウンスにスタンドも沸いた。マウンドに軽快に駆け上がる背番号１１の背中に、カメラの無数のフラッシュが注がれた。

　圧巻のデモンストレーションだった。１死走者なし。打者森山の初球。しなりの効いた右腕から放たれたストレートはうなりを上げた。「１５７キロ」。スコアボードに刻まれた“今季最速”の剛球にドーム内のボルテージは上昇するばかりだ。この回、１死二塁と走者は背負うも１イニング１安打無失点で締めた。「バラつきもあったが、失点０はよかった」（大谷）。投手編は、暴投あり、けん制悪送球ありのハラハラ劇場となったが、その実力に偽りはなかった。

　さらに打者編だ。マウンドを降りたのもつかの間、８回裏無死二塁。左打席に入った大谷は小山の投じた１３７キロの初球をたたいた。一、二塁間を破ったかに見えたが一塁手小斉の好守備に阻まれた。「（打球が）抜けたらよかったですけど、最低限の仕事はできたと思います」。惜しくも安打はお預けとなったが、チーム打撃となった進塁打に安堵（あんど）の表情を浮かべた。

　大谷が「二刀流サクセスストーリー」に向けて、第一歩を踏み出した。【投手】＜８回表＞

　６番マギーと対戦。ストレートで簡単に２ストライクと追い込むと最後は外角低めに１３８キロのスライダーで見逃し三振。１死走者なし。

　７番森山と対戦。初球１５７キロの直球でファウル。２球目も１５６キロの直球（記録はボール）カウント１－１から外角高めの直球を左前打。１死一塁。

　８番嶋と対戦。いきなり一塁けん制悪送球。１死二塁に。カウント１ボール２ストライクから最後はど真ん中に１２８キロのスライダーで見逃し三振。２死二塁。

　９番鉄平と対戦。カウント３ボールからの４球目。内角１５０キロの直球で捕邪飛に打ち取り無失点でしのいだ。この回の最速１５７キロ。【打者】＜８回裏＞

　無死二塁から打席に入り、小山の初球１３７キロの球を捉えた。一、二塁間を襲う打球だったが、一塁手小斉の好守備に安打を阻まれ一塁ゴロに倒れる。【守備】＜９回表＞

　この回からマウンドを増井にスイッチ。大谷は右翼に入る。この回守備機会なし。【打席】＜９回裏＞

　味方の反撃で１点差まで詰め寄り、あと１人出塁すれば大谷という場面だったが、結局２打席目は回ってこなかった。大谷はネクストバッターズサークルで悔しげに唇をかみ、ベンチに引き上げた。