福岡ヤフードーム内のモニターを見ていた中年の男性ファンが何やらにやつきながら言った。

 「おっ、今日の先発は甲藤か。そんなら、もう勝ったようなもんバイ。博多弁じゃ、もう『勝っとう(勝っているの意)』やけんな」。

 恐ろしいほどのダジャレを自画自賛すると、大船に乗ったような気持ちになったのか男性ファンは大股(また)でスタンドに消えて行った。開幕から5連勝。超ダッシュを見せたおらがチームに波乗り6連勝を期待する気持ちも痛いほど分かるが、現実はダジャレのようにはならなかった。ソフトバンク先発の甲藤が初回から球磨川下りのような「激流」につらいしぶきをかぶり続けた。5回までに2本塁打を浴びるなど5失点。6試合目にして経験する最多ビハインド。最後は1点差まで詰め寄ったが、02年以来、6年ぶりの開幕6連勝は手にすることはできなかった。

 開幕初黒星。いずれは負ける日が来る。ペナントの幕が開いてホーム6試合の最後の試合で負けたのは、再度チームを引き締めるためにも良かったかもしれない。前日(25日)のバント失敗に続き、この日も2つの走塁ミスが出た。5連勝中は劇的勝利の中でややもすると見過ごされがちだったミスが、この敗戦で大いに反省できるからだ。「0・1秒のスピードアップ」を今季目標に掲げ、走塁の意識がチーム内に浸透しつつある反面、その土台となる「冷静さ」「慎重さ」が少しばかりおざなりになっている感もある。連勝街道もまずは小休止。少しばかり立ち止まってみればリスタートも切りやすい。【佐竹英治】