阪神金本知憲外野手(39)が決意の開幕だ。28日の開幕戦(対横浜、京セラドーム大阪)を前に「体のこともいろいろあるし、覚悟している」とキッパリ話した。今年も大きな目標としている全試合フルイニング出場だが、手術した左ひざなど体の状態によっては継続をあきらめる覚悟を明かした。金本は現在、1186試合連続フルイニング出場の世界記録を更新中。「1つ1つクリアしていくようにね。まだできる自信もある」と、決死の思いで不惑を迎える08年のスタートを切る。

 ついに記録が途絶えてしまうかもしれない。虎の主砲が開幕を前に、覚悟の決意表明だ。世界記録を1186試合まで更新し、今年も目標に掲げている全試合連続フルイニング試合出場について、鉄人が複雑な胸の内を明かした。

 金本「まあ、今年は覚悟しますわ。体のこともいろいろあるでしょ。覚悟の上です。準備も、覚悟も、できました」。

 広島時代の99年7月21日の阪神戦以来、9年に渡って、コツコツと連続フルイニング出場の記録を伸ばしてきた。06年4月9日には、大リーグで活躍したカル・リプケンの記録を抜き、904試合の世界新を樹立。そして今年も記録更新を続けるという思いは変わらない。

 だが昨年10月に手術した左ひざの状態は、まだ100%ではない。モットーとする全力プレーができない日が続けば、フルイニング出場を断念せざるを得ないことも理解している。

 金本「開幕したらやるしかない?

 そらそうよ。不安は今はないよ。単発的な動きに関しては今は不安はない。でも、開幕して2、3週間くらいしたら不安も出るでしょう」。

 昨年10月19日に左ひざを手術。米ロサンゼルスで単身キャンプを張るなど、別メニュー調整で、開幕に合わせてなんとかコンディションを整えてきた。だがオープン戦では16打数1安打、打率0割6分3厘と、納得のいく状態にはほど遠い。万一、そんな日々が続けば記録に終止符を打つしかない。それは十分、理解している。

 金本「いろんな思い?

 そら覚悟していかな。1つ1つクリアしていくように。まだできる自信もあるしね」。

 この日は、京セラドーム大阪で練習を行い、フリー打撃では、43スイング中3本の柵越えを放った。打撃後には広沢コーチからアドバイスを受け、ミラールームにこもって約30分間、1人黙々とスイングフォームをチェック。最後の微調整で、開幕本番に備えた。

 ノックを終え、ベンチに引き上げる際には、一塁を守る新井に対し「声出せ、1年生」と声を掛けてナインの笑いを誘うなど、明るい姿は変わらない。

 だが今年に賭ける胸中には並々ならぬものがある。金本自身が「覚悟」を決め、それを公にした以上、状況次第では28日の開幕戦でいきなり途中交代となってもおかしくはない。だが、もちろん簡単に記録を途切れさせるわけにもいかない。人に「鉄人」と呼ばせた不屈の闘志と自信をもって、猛虎の主砲が08年開幕の扉を開ける。【福岡吉央】