<中日7-5ロッテ>◇22日◇ナゴヤドーム

 必死だった。中日小池はロッテ清水の外角カットボールに、夢中でバットを出した。5-5で迎えた7回2死一、二塁。カウントは1-2。打球は前進守備の左翼手の頭上を越える2点適時二塁打。大歓声の中、上気した顔で二塁ベースに立ちつくした。派手なガッツポーズをする余裕もなかった。

 2安打3打点の活躍で、横浜から移籍2試合目にしてのお立ち台。「今年は野球らしい野球をやってこなかったですから」。16日に電撃トレードが発表されるまで、今季の1軍出場はゼロ。05年に20本塁打を放った実績もかすみ「このまま野球をできなくなるかもしれない」と悩んでいた。考える間もなく家族と離れ、名古屋で7年ぶりの寮生活をスタート。この日も封を切っていない段ボールを横目に、平田の車に便乗して球場入りしていた。

 故障離脱者が相次ぎ、交流戦に苦しめられていた落合竜を救った。今季初の5連勝。勝率5割でフィニッシュだ。落合監督は「けが人はしようがない。ゆっくり帰ってくればいい。帰っても、出るとこないぞ。今いるメンバーで必死こいてやるだろう」と話した。27日は横浜戦。「これも何かの縁。必ず3連勝してやっつけたいと思います」。小池は逆転優勝を狙う竜の一員として、高らかに宣言した。【村野

 森】