<中日3-7巨人>◇6日◇ナゴヤドーム

 落合竜が3位転落の危機を迎えた。試合前に右手の異常を訴えた朝倉の出場選手登録を抹消。先発の駒不足が浮き彫りとなる中、中継ぎ左腕チェンを先発起用する奇襲に出た。チェンは5回2/3を1失点に抑えたが、2番手吉見が乱調。7回、小笠原に15号逆転満塁弾を浴びるなど5失点した。「泣きっ面に蜂(はち)」の派手な逆転負けで、首位阪神とのゲーム差は今季ワーストの11・5。3位巨人に0・5差に迫られた。

 マウンドの吉見はうつろな表情で逆転満塁弾の右翼席着弾を見届けた。2点リードの7回に3連打で1点を失い、なお満塁のピンチ。初球の甘いフォークが小笠原のバットに捕らえられた。悲鳴のような歓声が降り注ぐ。さらに2連打され、ベンチからタオルを投入された。チームトップ8勝のうち6勝を日曜日にマークした面影はなかった。報道陣を避け、何も話さずに球場を後にした。

 チームにとっては、まさに「泣きっ面に蜂」だ。この日、ローテーション右腕の朝倉が右手に異常を訴え出場選手登録を抹消された。2日に中田が不調で登録を外れたばかり。駒不足を補うべく、中継ぎ左腕チェンが4月24日以来の先発マウンドに上がっていた。そのチェンが5回2/3を4安打1失点と好投しただけに、終盤の逆転負け、しかも防御率トップのセットアッパー吉見が打たれての敗戦は痛い。落合監督は「ここまでの投げっぷりを見ていれば1回、2回打たれたからってとやかく言いません」とかばった。

 首位阪神に今季最大の11・5ゲーム差に広げられたが、もはや照準を阪神に合わせている場合ではない。3位巨人と0・5差。先発不足は解消されておらず、3位の座も危うい状況だ。森バッテリーチーフコーチは「チェンも吉見も先発はある。両佐藤(充、亮太)もな。長峰もそうだし、浅尾、(高橋)聡文も…。誰にもチャンスはある」と非常事態宣言を出した。

 早ければ9日にも自力Vが消滅する。このピンチをしのぎ切らなければ、安泰と見られていたクライマックスシリーズ進出にも暗雲がたれ込める。【村野森】