中日落合博満監督(54)が来年3月開催の「第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の日本代表監督就任を打診され断っていたことが29日、分かった。来季続投が決定している落合監督はペナントレースを最優先させるため固辞したもようだ。WBC監督は北京五輪日本代表の星野仙一監督(61)が有力候補だが、監督問題が議題に挙がる9月1日の実行委員会を待たずに落合監督にも白羽の矢が立っていたことで、今後の監督人事に影響を与えそうだ。

 WBCの監督人事は水面下で大きな動きを見せていた。中日の球団幹部はこの日、落合監督の代表監督問題について「最近、監督の方に直接要請があったが、断ったと聞いた。3月といえばチームが大事な時期だからでしょう」と日本プロ野球組織(NPB)からの打診をすでに断っていたことを明かした。打診されたのは、北京五輪終了後とみられる。

 落合監督は試合前、WBC監督の打診を受けたのかとの問いに「やりません。私はやりません」とだけ答えた。同監督は06年の第1回WBCの際にもリーグ開幕直前の開催について疑問を呈するなど、ペナントレース最優先の持論があり、来季続投も決定していることから監督就任は固辞したようだ。

 落合監督は04年に中日の監督に就任すると1年目にいきなりリーグ優勝。05年は2位に終わったが、06年に2度目の優勝を果たすと昨年はリーグ2位ながらクライマックスシリーズを勝ち抜き、チーム53年ぶりの日本一を成し遂げた。今季は首位阪神からは大きく離され、現在は広島とクライマックスシリーズ出場圏内の3位争いと苦戦しているが、守りをベースに勝利に徹するオレ流采配で監督歴5年目ながら十分な実績を誇る。

 また、オリックスを自由契約となった中村紀を再生するなど、個性派をまとめるカリスマ性と能力も証明しており、メジャーリーガーが参加するWBC監督候補になっても不思議ではなかった。現時点でWBCの監督は北京五輪代表の星野監督が有力候補に挙げられている。ただ、一方では北京でメダルなしの惨敗に終わった「星野ジャパン」に対し、世論の反発の声も表面化してきている。

 具体的には9月1日のプロ野球実行委員会で議題に挙げられ、正式な議論がスタートする。中日西川球団社長が「代表監督の選考にはルールを設けるべき」と話すように、各球団から選考に対する意見が続出することも予想される。その話し合いが注目される。