日本ハムに新クローザー争奪戦が勃発(ぼっぱつ)した。梨田昌孝監督(55)が15日、不動の抑え投手だったマイケルの巨人移籍を受け、新守護神確立までのパターンを提示。全員がチャンスとした上で(1)中継ぎからの配置転換(2)若手の育成(3)新戦力の起用の3つを掲げた。来季開幕まで、ポスト・マイケルを目指した競争が続く。

 クローザー争奪戦の“ゴング”が鳴ったのは、守護神マイケルの移籍発表から一夜明けた15日朝だった。秋季キャンプ地の沖縄・名護で、吉井投手コーチが「クローザーの枠が空いたがオフにしっかりやったやつが取れる」と、投手陣にゲキを飛ばした。

 梨田監督は「若手にはめちゃくちゃチャンス。早めのお年玉」と活性化を促した。全員がチャンスとした上で「5、6人は名前が挙がってもおかしくない。菊地はかなり良くなったし、ダースも短い回を練習させようかと思うし、吉川も速い球がある」と候補の名前を挙げた。指揮官の考えでは、抑え候補確立のパターンは3つある。

 (1)中継ぎの配置転換

 マイケル離脱時に今季6セーブの武田久、後半にセットアッパーで貢献した建山の起用。

 (2)若手の育成

 今季2軍で6セーブの菊地、ハワイ・ウインターリーグで修行中の吉川、長身のダースら若手の英才教育。

 (3)新戦力

 巨人から移籍で通算21セーブの林ら新入団選手の抜てき。

 いずれにしろ、梨田監督は「今は白紙。新方程式をつくっていく」と、来春のキャンプ、オープン戦までに適性を見極める方針だ。菊地は「取れるものなら取る気持ちでやりたい」と意欲。抑えの調整法などを経験者に“取材”したダースも「僕だけじゃなく、みんな譲れないと思って燃えている」と話した。

 3年間固定されていた守護神役が移籍し、若手のモチベーションは急上昇。2軍で今季3セーブの金森は「狙うしかないでしょう。信頼を勝ち取らないと」と言った。オフを挟んだ抑え役争奪戦が“開幕”した。【村上秀明】