<楽天0-6西武>◇10日◇Kスタ宮城

 西武涌井秀章投手(22)が、岩隈久志投手(27)に勝った。首位楽天をねじ伏せた。10日の楽天戦(Kスタ宮城)で8回3安打無失点で開幕2連勝。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では中継ぎに甘んじたが、調整不足の影響などを感じさせないピッチングをみせた。松坂、ダルビッシュと先発3本柱として連覇に貢献した岩隈は、5回3失点で初黒星を喫した。

 久々に見る“全開”の涌井だった。日本シリーズの再現を思わせる8回3安打無失点の力投。岩隈に投げ勝った価値ある1勝だったが、威勢のいい言葉は出てこない。「岩隈さんが本来の調子じゃなかったんで。勝って良かったんですけど…なんて言えばいいかわかんないです」。1点を争う投げ合いを期待していただけに、試合後は何か物足りなさそうだった。

 岩隈との初対決は、特別に気合が入っていた。試合前、渡辺監督から「何点欲しい?」と言われて「2点です」と返した。この一戦にかける思いが強かったからこそ、岩隈が5回3失点で降板すると拍子抜けした。「僕は疲れてないし、岩隈さんは疲れてた」と力なく言った。WBCの疲労が影響したと言われれば、返す言葉がなかった。

 乗り越えなければいけない相手だった。帰国後、WBCの収穫を問われると「ないです」と答えてぶ然とした。もちろん、松坂や岩隈ら一流選手と過ごして学んだことは多かったが、登板した3試合はすべて中継ぎで計3回1/3。大事な一戦で出番がなかった自分の力不足が悔しくて仕方なかった。WBC決勝で先発した岩隈の姿を「投げたいなあ」という複雑な思いで、ブルペンから見つめることしかできなかった。

 低めに集める投球は、くしくも本調子の岩隈を思わせる精度があった。カーブを多めに使って緩急をつけて幻惑し、ここぞの場面では力で押す。3回2死満塁のピンチでは、4番セギノールをこの日最速の146キロで空振り三振。コースは多少甘くても、気持ちの入ったボールに、バットはかすらない。力と技のバランスが絶妙だった。

 大沼と完封リレーを決め、開幕から連勝スタート。チームには、今季初の連勝と貯金をもたらすエースの投球だった。次戦は中6日で、日本ハム・ダルビッシュとのライバル対決が待つ。「おそらく100%当たるでしょうね。また打線が打ってくれると思うので、勝てればいいです」。岩隈に投げ勝ち、次なる獲物はWBCのクローザー。反骨心が、涌井の中で燃え上がっている。【柴田猛夫】

 [2009年4月11日8時14分

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