日本ハム梨田昌孝監督(56)の監督通算500勝記念のウイニングボールが見つかっていない。今季初勝利で達成したソフトバンク戦から一夜明けた23日、いまだ手元に届いていないことが判明。選手のうっかりミスで、他のボールと混在、判別不能な状態に陥ってしまった。

 喜劇のような「行方不明」の経緯だった。川崎の遊併でゲームが終了し、1軍経験の少ない高口が一塁手でがっちりと球を確保。それがなぜか梨田監督でなく、移籍後初勝利を挙げた木田でもなく、4番手の江尻に手渡したことから問題が大きくなった。

 江尻は、その最終9回に登板して4失点。ベンチへ戻ると怒りのあまりボールの入ったグラブごと、たたきつけたという。それでボールがこぼれ落ち転々…。試合後にベンチ整理をした何も知らないマネジャーが、ほかの30個以上のボールと一緒にケースへと片付けたため、どれが勝利球か分からなくなったという。

 捜索したスタッフによれば、江尻は「頭が真っ白で覚えていない」。しかも不振でその日に2軍降格が決まるタイミングの悪さだった。ただそこは寛容な梨田監督。この日、千葉入りするために向かった新千歳空港で「だから江尻が2軍行き」とブラックジョークをかましながら「オレはコレクターじゃないから大丈夫や」と一笑に付した。06年には同じように25年ぶりリーグVのウイニングボールを紛失、日本一を奪取している。これが梨田監督の悲願の日本一への吉兆になるか、注目だ。【高山通史】

 [2010年3月24日9時20分

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