<阪神6-7巨人>◇13日◇甲子園
勝負はまだ先だ!
真弓明信監督(57)の背番号と同じ72日ぶりの奪首はならなかった。前日12日に誕生日を迎え、57歳初勝利を目指したが延長12回、雨中の死闘に敗れた。スタンリッジを8回まで投げさせ、9回の「誤審」でも審判に詰め寄った。最後までナインを鼓舞したが、虎党の願いは2戦目以降に持ち越し。だが根底にあるのは「勝負は9月以降」の思い。先をにらんだ指揮官の信念がかいま見えた一戦にもなった。
雨に打たれ、ベンチで立ったまま、ゲームセットの瞬間を見つめた。真弓監督は目を充血させ、グラウンドに背を向けた。4時間20分の死闘の末、あと1点届かなかった。悔しさをグッと飲み込んで、記者会見場に足を進めた。このカードはあと2試合ある-、そんな問いかけにこう返した。「あと2試合というか、ずっと続くんでね。一戦一戦やるだけだ」。宿敵に0・5ゲーム差で迎えた首位攻防戦の初戦。72日ぶりの“奪取”はならなかったが、これが終わりではない。巨人との激烈な戦いは、まだ始まったばかりだ。
信念を貫いての敗戦だった。Bクラスに沈んだ昨年とは違い、今年は激しいペナントレースの中に身を置く。それは指揮官として、未知の領域だ。自らの采配(さいはい)が明暗を分ける可能性は十分ある。しびれるような状況で、真弓監督は腹を決めていた。どうすれば、巨人に勝って、優勝できるか。「(球宴明けの)後半戦になったら、戦い方も変わってくるかもしれない。それでも、本当の勝負はまだ先だ」。それはいつか?
ロードが続く8月中旬か?
首を横に振った。「もっと先だ。9月中旬だ。そこで勝てるかどうか。すべてはそこにかかってくるはずだ」。
脳裏には、歴史的V逸と言われた08年のシーズンがある。巨人に最大13ゲーム差をひっくり返され、2位に終わった。後半戦にチームは一気に失速。評論家としてネット裏から見つめ、そのときの光景が焼き付いている。「今、無理をしても、絶対に最後までもたない」。先発投手に不安があっても、好調の久保をフル回転させるようなことはしない。鶴を試し、メッセンジャーを中継ぎから転向させた。先を見据え、丹念に態勢を整えている。
信念が表れたのは、7回裏だ。先頭の浅井がヒットで出塁し、続く打者は投手のスタンリッジ。球数は100球を超え、代打も考えられた。それでも続投を決断した。9連戦の初戦でもある。中継ぎ陣は疲労がたまっている。助っ人右腕に先発投手として、長いイニングを任せることは今後につながるはずだ。決断にはそんな背景があった。1戦必勝には当然こだわる。9回表の微妙な判定に対しても、ベンチを飛び出して抗議した。「最初の4点の後、追加点を取れるときに取っておかないと、こういう日になる」。巨人と1・5ゲーム差になった。ただライバルも厳しい戦いを続けている。この日の敗北が、首位奪取につながる日がきっと来る。
[2010年7月14日11時26分
紙面から]ソーシャルブックマーク




