<中日3-0阪神>◇21日◇ナゴヤドーム
落合竜が阪神との首位決戦で先勝した。
重圧を打ち破り、チームを優勝へと前進させる1打だった。1-0とリードして迎えた6回2死二塁野本圭外野手(26)は変化球で追い込まれた。5球目。外角へのカーブに体がピタリと止まった。ぎりぎりまで引きつけ、バットをたたきつけた。打球が鋭く遊撃の横を抜けると、一塁へ叫びながら走った。
「ここで打てば、チェンが楽になるだろうなって打席に入る前から思っていました。今までやってきた自分を信じて打ちました」
先制点も野本だった。4回1死一、三塁で直球を中堅へ打ち返す犠飛。阪神との最後の決戦・第1ラウンド。レギュラーを張っている選手でも体がかたくなるような舞台で、2年目の野本が主役になった。
08年のドラフト、落合監督がスカウト陣が推す大砲・大田(現巨人)を回避してまで1位指名して獲得したのが野本だった。1年目の昨季は64試合で打率2割5分1厘とプロの壁にぶつかった。2年目の今季もこの日まで2割1分6厘と苦しんだ。ただ、日々、もがく中で身につけたのが自己犠牲の精神だった。
「今までは引っ張ってばかりだったんですけど、チャンスの時こそ逆方向と思うようになった」
打撃に関しては天才的と言われる男が得意の引っ張りを封印した。先制犠飛も、2点目のヒットも、中堅より左へ打ち返した。「僕がだめでも他の選手がいる。ベンチであれ、スタメンであれ、チームが勝つためにやるだけです」。圧倒的な投手力だけではない。正念場で成長を示した野本の打撃も、落合竜の強さを象徴していた。【鈴木忠平】
[2010年9月22日11時27分
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