<ヤクルト4-6広島>◇10日◇神宮

 イチ超えならずも、若さん超えだ。ヤクルト青木宣親外野手(28)が広島との今季最終戦で2安打を放ち、今季209安打とした。オリックス時代のイチローが94年にマークした210本には届かなかったが、3度目の首位打者を獲得。打率3割5分8厘4毛で、OBで元監督の若松勉氏(63)の球団最高打率を2毛上回った。

 大飛球は、惜しくもスタンドに届かなかった。9回2死一塁。最後の最後に、青木に5度目の打席が回ってきた。フルスイングも、打球は右翼手のグラブへ…。一塁ベースを駆け抜けると、舌を出して苦笑いを浮かべた。「ホームランを狙ってました。パワーが足りなかったですね…」。それでも、今年最後の試合で代名詞のヒットを重ねた。3回に内角直球を左前へしぶとく運び、5回にも外角速球を逆らわず左前へ。209安打で今季を締めくくった。

 イチローにはあと1歩及ばなかったが、打率3割5分8厘4毛は、ミスタースワローズこと若松氏を2毛上回る球団史上最高打率。自身3度目の首位打者も、同氏を超えて球団史上最多だ。今春キャンプ中、青木は若松氏に首位打者を獲得することを約束していた。背番号「1」も継承した。「1番になって最初の年。決意を持って臨んだシーズンだった。(日本人最高の)3割1分9厘という生涯打率を持っている方を、少しの差でも抜けたことはうれしい」と話した。

 チームでただ1人、全試合出場を果たした。将来的にメジャーリーグでのプレーを夢見るが、来季もヤクルトの一員として戦うことを明言した。「目標?

 今はあまり考えたくないけど、今年は結果を残した中で課題も見つかった。来年は楽しみですね。日本での目標ですよ」。日本球界の誇るヒットメーカーは、チームのため、再び偉業に挑戦する。【由本裕貴】

 [2010年10月11日11時37分

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