巨人原辰徳監督(52)が1日、亀井義行外野手(28)を三塁守備に挑戦させる考えを明かした。川崎市のジャイアンツ球場で秋季練習が始まったこの日、本人に伝え、2日から本格的に練習することが決まった。今季不振にあえいだ亀井に復調のきっかけを与えると同時に、用兵の選択肢を増やす狙いもある。現役時代三塁手だった原監督は「(成功の)可能性は十分ある」と、自信をのぞかせた。

 大胆なコンバートプランは、チームにとっても亀井にとってもプラスに作用する可能性を秘めている。正三塁手の小笠原道大内野手(37)は来年38歳。守備の負担を考慮して一塁で起用する機会が増えれば、より打撃に専念できる環境が整う。亀井も今季は打率1割8分5厘と極度のスランプに陥り、本職の外野はもちろん、一塁でも出場の機会は少なかった。新たなポジションへの挑戦を、不振脱出のきっかけにしてほしいという狙いもある。

 巨人には一塁を兼任できる外野手が多く、今季も対戦相手や個々の状態に応じて多様なオーダーを組んできた。だが、三塁は遊撃と並んで長い距離のスローイングが求められるポジションで、一塁に比べてハードルが高い。亀井の強肩やゴロをさばく身のこなしを見て、適性があると判断した原監督は「彼はたぐいまれな器用さを持っているし(守備の)能力も高い。一塁も上手になった。それにプラスもう1つ、三塁に挑戦してもらおうということです」と、期待を寄せた。

 2日から本格的に三塁の練習を開始する予定の亀井は「(不振の)打撃も含めてやることはたくさんあるけど、やるしかない。自分の立場は分かっている。チャンスすら与えてもらえない選手もいるのに、挑戦できるチャンスをもらえるだけでありがたい」と言葉に力を込めた。チームでは、高田繁氏が外野と三塁の2ポジションでゴールデングラブ賞を受賞したのは有名。簡単ではないが、やりがいのある“復活ロード”が亀井に用意された。【広瀬雷太】

 [2010年11月2日8時8分

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