横浜色を押し出して、攻勢をかけた。西武からFA宣言した細川亨捕手(30)の獲得に横浜が用意したのは、横浜随一の観光スポット「中華街」。高級上海料理店で異色の交渉を敢行した。午後6時半開始。総額約3万円の特上フカヒレや旬の上海ガニなど11品が、交渉に花を添えた。「横浜を一番知ってもらえる場所」と加地隆雄球団社長(69)。交渉順でソフトバンクに出遅れ。条件面でも2年契約で総額2億円プラス出来高払い(金額推定)と、ソフトバンクの4年5億超に及ばない。巻き返しへ、とっておきの作戦だった。

 舞台設定は工夫を凝らしたが、交渉では愚直に攻めた。冒頭で加地社長が「来てほしい」と頭を下げた。「誠意と熱意を感じた。直球勝負にひかれました」。インサイドワークに定評がある細川も驚きの配球。家族を大切にする細川の性格も調べ上げ、在京の利もアピールした。

 2球団との交渉を終えた細川は「どちらも誠意を感じた。自分にとっては家族が大事。家族と相談したい」と速断を避けた。ソフトバンク有利と言われる中、「愛」を訴えた横浜の巻き返しなるか。

 [2010年11月20日9時52分

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