西武からFA宣言した細川亨捕手(30)がソフトバンク移籍の決意を固めたことが20日、分かった。横浜、オリックスからも獲得オファーを受けたが、ソフトバンクは交渉解禁初日の速攻アタックと、年俸4年総額5億円以上(推定)という大型条件でライバルを圧倒。家族会議で決断した細川の意志は固く、秋山幸二監督(48)が交渉に同席する23日にも「ソフトバンク細川」が誕生する。

 解禁日の18日に即交渉したソフトバンクの熱意とインパクトが決め手になった。条件提示を受けた細川が「期待以上でした」と目を細めたのが、4年の大型契約だった。今季年俸7100万円から総額5億円以上という金銭面にはもちろん誠意を感じたが、故障アクシデントも多い捕手のポジションで4年間の長期保証は、何より必要とされていることを実感できた。

 さらに尊敬する王会長、秋山監督から受けたラブコールが「心に響いた」と率直な心境を口にしていた。翌19日に横浜から“中華街交渉”で猛アタックを受けても、ソフトバンクへの思いは揺るがなかったようだ。今シーズンの最終盤までリーグ優勝を争ったライバル球団への移籍となるが、高く評価してくれるチームを選ぶのは必然の流れだ。

 悩んだ末に出した結論だった。家族4人で都内に在住し、在京球団の希望もないわけではなかった。夫人と2人の子どもが原動力だけに、何度も家族で話し合ったが「どこに行ってもパパを応援する」と心強い後押しを得た。ソフトバンクが生活面の相談にも親身になり、家族のバックアップを約束してくれたことで、本拠地が福岡になる障害はなくなった。

 オリックスは交渉解禁3日目となった20日、細川と交渉に入ることを表明した。岡田彰布監督(52)は「3万超える中華、食わさなアカンな」と話した。横浜が特上フカヒレなど11品、約3万円の中華料理で接待したのを受けての誠意の1つだったが、明日22日に予定していた第1回交渉は白紙に戻る。

 細川は基本方針として、手を挙げてくれた全球団と交渉することが最低限の礼儀と考えている。だが決心がついた以上、中途半端な気持ちで他球団と交渉のテーブルにつくことは難しい。横浜、オリックスには近日中に断りを入れる。今後は23日に西武のファン感謝イベントに参加してファンに9年間のお礼を伝えた後、ソフトバンクと都内で2度目の交渉に臨む。出席を予定している秋山監督に直接、入団の意思を伝える運びとなりそうだ。

 [2010年11月21日9時13分

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