【ホノルル(米ハワイ州)15日(日本時間16日)=鈴木忠平】二塁打王は返上、3割&30本で連覇に貢献するぞ。中日森野将彦内野手(32)が来季、初の30本塁打を宣言した。今季は打率3割2分7厘、22本塁打をマークし、2年連続二塁打王にも輝いた。だが「このままでは成長できない」と本塁打数に不満。最大の特徴である飛距離を取り戻し、相手投手に恐怖感を植え付ける狙いだ。今オフは下半身の肉体改造に着手。来季は和田、ブランコとの100発トリオを目指す。

 南国ハワイの海を見つめる森野の視線には、来季の課題がはっきりと見えていた。

 森野

 僕はこのままでは成長できない。ひと言で言えば楽して打ってる。二塁打が多かったのは本塁打できる球が二塁打になっていたから。やはり30本は打たないといけないでしょう。

 名物カクテル、ブルーハワイをすすってご機嫌と思いきや、自分自身への怒りを感じさせる口調だった。

 2年連続、リーグ最多二塁打(45本)をマークした。特に中堅から左翼方向への打球が多く、4番和田、5番ブランコの前で、数多くのチャンスをつくった。それは3番打者の役割に徹した結果。だが本人にとっては、本塁打にできる球が二塁打になってしまったとの認識が強かった。それが「楽して打ってる」という言葉になった。

 森野

 自分の一番の武器がなくなってしまった。小学校の時から飛ばせと言われたら飛ばせた。その感覚が僕の左手からなくなってしまったんですよ。これでは相手投手は怖くない。怖いと思わせなければ、失投もこない。『あそこに投げておけば大丈夫』ではなく『あそこに投げてはいけない』と思わせないといけない。

 東海大相模で活躍していた高校時代も、中日に入団した直後の新人時代も、武器は圧倒的な飛距離だった。軽く振っているように見えて打球がぐんぐん伸びていく。だれもがうらやむ天性の飛ばし屋だった。だが、3番打者として打線のつながりを考えすぎることで、飛ばしの感覚を忘れてしまったという。フルスイングの原点回帰へ、原因ははっきりわかっている。

 森野

 30本打てなかったのは下半身のせいです。やるべきことはわかっている。左足、左腰…。原因は全て左側にあるんです。

 今月末からは地元・神奈川で1人で自主トレを開始する予定。毎日5キロ以上、走り込んで土台をつくり直す。その先に初の30発の大台が待っている。目指すは今季37本塁打の和田、昨季本塁打王のブランコとの100発トリオ。完成する日は遠くないかもしれない。

 [2010年12月17日11時50分

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