鉄人・衣笠を超える-。中日谷繁元信捕手(40)が6日、横浜市内の国学院大グラウンドで自主トレを公開し、今季の目標として全144試合出場を掲げた。達成すれば元広島の「鉄人」衣笠祥雄氏(63=野球解説者)の2677試合を1試合上回り、歴代出場記録単独4位となる。昨年12月に40歳を迎えた竜の司令塔が、日本一とともに、偉大な記録に挑む。

 冬の日差しを浴びながら谷繁は走り続けた。恒例の国学院大グラウンドでの自主トレ。1人で黙々とランニング、ダッシュ、坂道ダッシュを繰り返した。ひたすら走る濃密なトレーニングは2時間以上に及んだ。

 「いい動きしているだろ?

 もう、体、できあがっているなあ」。

 快調な動きに思わず笑みがこぼれた。年が明けたから「始動」ではない。昨年のうちに今季へ向けた練習を開始している。歴代8位、現役最多2534試合出場を続けている理由がここにある。そして、今年、谷繁が偉大な記録に到達する可能性がある。全144試合に出場すれば、あの鉄人・衣笠(2677試合)を抜いて出場試合数の歴代4位に躍り出るのだ。

 「オレが抜いてもいいのかな?

 ああいう人は抜いちゃあだめでしょう。まあ、ただ、毎年やるからには全試合出たい気持ちでいるよ。やっぱり試合に出てナンボだから」。

 広島出身の谷繁にとって赤ヘルの鉄人・衣笠は雲の上の存在だった。2215試合連続出場の世界記録を打ち立てて国民栄誉賞を贈られた。少年時代のヒーローの記録が、手の届くところにある。現実感のなさに戸惑いながらも、谷繁ははっきりと「鉄人超え」を公言した。

 年齢という目に見えない敵と戦うシーズンでもある。2週間前に、40歳になった。日々の練習メニューなどを軽減される可能性はある。だが、谷繁は、年寄り扱いされることを断固拒否した。

 「周りはいたわってくれるようになるんじゃないかな(笑い)。でも、そういうのはいらん!」。

 昨年は左肘などの故障もあって110試合の出場にとどまった。全試合フル出場は厳しいノルマだが、スタメンマスクをかぶらない日でも、終盤から登場して試合を締めるパターンはある。「ここ数年と変わらない動きができている。まだまだ若いのに負けるつもりはないよ」。谷繁が目標を達成した時、球界に新たな「鉄人伝説」が誕生する。【鈴木忠平】

 [2011年1月7日10時56分

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