<中日7-6横浜>◇6日◇ナゴヤドーム

 落合竜が5点差をひっくり返す劇的な逆転勝ちで踏みとどまった。負ければ落合政権ワーストの借金6となる試合は3回までに5点をリードされたが、8回に同点とすると最後は英智のスクイズで決勝点を奪った。落合博満監督(57)の執念のタクトが常勝軍団復活のきっかけとなるのか-。

 英智も、ベンチも完全に気配を消していた。8回、5-5の同点に追いつき、なお一、三塁。ここから落合監督の執念のタクトが動き始めた。代打野本を告げると、横浜は左腕篠原をつぎ込んできた。ここで、すかさず代打の代打英智を送り、スクイズを命じた。

 「(代打)野本の代打だったので、おかしいなと思ったんです。サインが出た時は『出た~』と思ったんですが、相手に悟られないようにいつも通りタイミングを取りました。高校野球も始まりましたので、高校野球スタイルでやらせていただきました」。

 初球、何事もなかったのようにタイミングをはかった。そして、1ボールからの2球目。完全に無警戒だった横浜バッテリーの裏をかいて投手前に転がした。三塁から森野がホームに滑り込んだ。まさに執念で奪った決勝点だった。

 「ちょっとは野球を思い出してくれればいいんじゃないか?

 そうなってくれないと困る」

 劇的な逆転勝利の後、落合監督はあえて厳しい表情で言った。ここまではあと1点を奪えず、屈辱の5位に沈んでいた。だが、ベンチのだれもが感じていたように、この日はいつもと違う感触があった。先発伊藤の乱調もあって、3回までに5点をリードされた。だが、ベンチにあきらめムードはなかった。

 そして、ドラマは2-5として迎えた8回に起きた。荒木が四球で出ると2番藤井が粘った末に左前打で一、三塁とチャンスを広げた。打率1割台のグスマンが四球でつなぐと、満塁から4番森野が右翼線へ意地の2点適時二塁打で1点差。さらに、1死後に平田がつまりながらも右前に落とし、同点に追いついた。

 「みんながつないでくれたので、ここで打たなきゃ4番じゃないと思った。まあ、じつは4番目だと思っているんですけど(笑)。いい感じでつながった。明日もドラゴンズらしい、いやらしい野球をしたい」。

 森野の言葉に手ごたえがこもっていた。首位とはいまだ8ゲーム差。順位も5位のままだ。だが、この日は確かに常勝軍団らしい、したたかさがあった。逆襲の時間はまだ残されている。【鈴木忠平】