昨季の日本一ロッテのフロントが刷新される。ロッテ瀬戸山隆三球団社長(58)は18日、今季限りで辞任することを表明し、チーム編成の指揮を執ってきた石川晃球団運営本部長(50)も辞任することが発表された。

 突然の辞任が球団改革の難しさを改めて浮き彫りにした。瀬戸山社長は就任以来、チーム強化とともに、球団の赤字体質からの脱却を陣頭指揮してきた。就任時に37億円あった赤字も昨季は20億円まで軽減に成功し、石川本部長とのタッグで取り組んできた改革は順調と思われていた。

 一方で「強化」と「赤字削減」という両立困難な命題の中で、壁にぶつかっていたのも事実だ。改革のためには荒療治も必要。行ってきたのが、経費を押し上げる要因となっていた高額年俸選手の放出だった。09年オフにはエース清水を横浜へ、昨オフは西岡(現ツインズ)のポスティングシステム(入札制度)行使を容認し、小林宏が阪神にFA移籍。今季はシーズン中に選手会長のサブローを巨人へトレードした。ビジネスに徹した手法が「生え抜き軽視」と批判を浴びることも少なくなく、周囲とのあつれきを生むこともあった。

 チームが好成績を残している間は強引な手法でも不満が噴出することは少ないが、最下位に低迷する今季は、チーム関係者からも編成方針に対しての疑問の声が上がることもあった。同社長は「任期満了」の円満退社を強調していたが、今回の辞任劇にはそうではない一面も含んでいる。【ロッテ担当・鈴木良一】