阪神は2日、OBの湯舟敏郎氏(45=日刊スポーツ評論家)の2軍投手コーチ就任を発表した。02年以来、10季ぶりの同ポスト復帰で、背番号は79。球団事務所で会見した湯舟コーチは、若手の体力強化を最優先する「鉄人養成計画」を明かした。

 柔和な物言いで知られる湯舟氏が、ドS発言を連発した。9年間評論家として古巣を見つめ、思い至ったのは体力不足だった。

 「誰しも調子の波はある。でも波が大きい人は体力レベルが低い。技術も大切だけど、体力が上がらないと競争に勝てない。それが9年間で一番感じたこと。苦しい練習になるが、それが最重要です」

 特に重視するのは走り込み。下半身をまんべんなく強化できるため、投手にはランニングやダッシュという原点のメニューに立ち返らせる。

 「どうやって走らすかが仕事になる。自主的に走ってくれるのがベストだが、なかなかそうはいかない。投げ込みのようにキツい中での喜びはないし、ひたすら走るのはキツいけど、それをやってもらうことが1軍につながる」

 一流の絶対条件はケガをしないこと、そして1年間戦い抜くスタミナだ。阪神なら1492試合連続フル出場の世界記録をもつ金本を筆頭に、新井、鳥谷、藤川ら鉄人ぞろい。「1軍の戦力はかなり強固だが、そこに割って入らないと生きていけないし、阪神の飛躍もない」。走って走って、かいた汗の分だけ栄光に近づくと信じている。【柏原誠】

 ◆湯舟敏郎(ゆふね・としろう)1966年(昭41)10月8日、大阪府生まれ。興国高-奈良産大-本田技研鈴鹿。90年ドラフト1位で阪神入り。主力投手として活躍し2ケタ勝利3度。92年の広島戦でノーヒットノーラン達成。近鉄に移籍した01年限りで引退。02年に阪神2軍投手コーチを務めたあと評論家に。通算11年で60勝79敗、防御率3・99。左投げ左打ち。