杉内の巨人入りに、今日にも誕生する新球団のオーナーから“待った”がかかった。横浜買収で合意しているディー・エヌ・エー(DeNA)の春田真会長(42)が11月30日、今日1日の臨時実行委員会とオーナー会議で球界参入が認められた場合、積極的な戦力補強を行うことを示唆。「横浜DeNAベイスターズ」の初代エースとして、ソフトバンクからFA宣言し、巨人入りが確実となっている杉内俊哉投手(31)に興味を示した。

 巨人がリードしている杉内争奪戦に、新生ベイスターズが加わる可能性が出てきた。都内のDeNA本社で取材に応じた春田会長は「もし承認されないとなれば、ファンの皆さん、球団職員や選手にとっても、中途半端な形になってしまう。残念な結果になったら、申し訳なく思う。(各球団に)理解されていると思う。(承認の手続きが)無事に終わればいいなと思います」と、オーナー会議前日の心境を語った。

 一部の球団の反対もあり、承認までの手続きが予想以上に難航。来季へ向けたチーム作りは完全に出遅れている。今日、晴れて承認されれば、球団オーナーに就任予定の春田会長も加わって本格的な補強に着手する。参入1年目は6年ぶりに最下位を脱出することが最低限の目標で「残念ながら最下位が続いているという事実がある。外部の方で力になってくれる方がいれば」と、FA補強も視野に入れていることを明かした。

 野手の目玉として、巨人を退団するラミレスを獲得することが決定的。だが、上位を争うためには12球団最低のチーム防御率をマークした投手陣の立て直しが急務となっている。杉内はチーム最大の弱点を埋められる存在だ。杉内獲得の可能性について質問された春田会長は「個々の選手について、僕に聞かれても分からない」と苦笑いしながらも「もちろん、来ていただけるのであれば。皆さんが認めている素晴らしい投手ですから」と、争奪戦に加わる可能性をほのめかした。

 新監督の最有力候補に挙がる工藤公康投手(48)の存在も獲得に向けて大きなカードになる。同投手は以前、野球教室で「上達の近道はうまい選手をまねること。カーブで言うなら、セなら前田(広島)パなら杉内」と話し、その実力を認めている。杉内も尊敬する投手に工藤の名を挙げており、背番号は同じ「47」。あこがれの存在が切り札となるかもしれない。

 現在横浜は、FA宣言した中日小池、巨人鶴岡の獲得も目指しているが、両選手ともチーム内年俸順位が11位以下のCランクとみられ、Aランクの杉内の獲得も問題ない。

 春田会長は、巨人へのFA移籍が濃厚な主砲村田の引き留めに「お会いしたいと思います。2日の朝イチにでも」と直接出馬する意向。参入が承認されれば、2人の獲得を巡って巨人と相まみえることになるかもしれない。