中日ドラフト1位高橋周平内野手(18=東海大甲府)が沖縄・北谷キャンプ初日の1日、本塁打王に輝いた。フリー打撃46振で6本の柵越え。本数はブランコ、山崎、森野らの長距離砲より多く、本塁打率もチームナンバーワン。ドラフトで3球団が競合した金の卵の看板に偽りなしで、17年ぶりにユニホームを着た高木守道監督(70)も大絶賛した。

 打球が下降線を描かない。滞空時間の短い打球がライナーのまま、次々と右中間芝生席に突き刺さった。これが2週間前に18歳になったばかりの高校生の弾道か。プロでのキャンプ初日、ドラ1高橋周がフリー打撃で魅せた。左腕の打撃投手も苦にせず5発。現役プロとの初対戦、武藤の初球をブチ込んだ。46振で6本の柵越えはチーム最多の“本塁打王”デビューだ。

 高橋周

 武藤さんもまだでき上がった段階ではないし、たまたまです。自分の形は整ってきたので、あとは練習するだけです。

 山崎が68振で5発、ブランコが66振で4発、森野が47振で3発。先輩の長距離砲を圧倒し、本塁打率でもキングに輝いた。舞台は両翼98メートル、中堅122メートルと広い北谷球場だ。あと数十センチで柵越えのフェンス直撃打も6発見舞うなど長打性を連発。コースに逆らわずに打ち分ける器用さも見せつけて安打性33本、打率7割超のヒットマンぶりも発揮した。

 高橋周

 まだ始まったばかりです。上でやらせてもらってるんで、残れるところまで残りたいです。

 打ち出の小づちは85・6センチ、910グラム。中長距離砲タイプの福留モデルだ。メーカーがサンプルを数本用意した中で一番フィットした。その存在が福留級、福留以来と騒がれる男が自然と握った先輩の名刀。素材でも、本家に迫る勢いで飛び出した。

 高木監督もぞっこんだ。「いいでしょう?

 飛ばす力は天性。OB連中も評価してましたよ」。守備で「取ってから速く投げろ」と初の直々指導を施した。「すぐ形ができた。飲み込みも早い」と一発回答に名手の大先輩がうなった。「高橋が使えるとなればいろいろ考えないといけない」。森野らと三塁を守ったが、ポジションシャッフルの可能性にも触れるうれしい悲鳴をあげた。

 特守など8時間ぶっ通し。練習量は12球団1と評判の中日キャンプの初日を楽々クリアし、非凡な体力もアピールした。

 高橋周

 キツさは感じなかった。でも徐々に感じてくると思います。楽しくもないけど不安もないです。

 頼もしく言ってのけた。88年立浪以来24年ぶりの高卒新人開幕スタメン、そして未来の主砲へ。周平ショーは存分な期待感を抱かせた。【松井清員】