<ヤクルト2-0巨人>◇21日◇神宮
3本の指で操る「魔球」で、ヤクルトの「ジャイアン」赤川克紀投手(21)がプロ初完封を決めた。3番坂本に4安打を許したが、続く4番阿部は4打数無安打に封じた。3つの二塁ゴロはすべてツーシーム。左打者の外角からシュート気味にストライクゾーンに変化する得意球を自在に投げた。スライダーは10球程度で、ほぼ直球とツーシームで勝負した。
赤川はすべての球種を親指、人さし指、中指の3本の指で投げる。薬指、小指は添えもしない。「昔からそうなんです。みんなに変だと言われます」と言う。それが直球、ツーシームに独特の変化を生んでいる。スライダーの名手、伊藤投手コーチは「誰もまねできない握り」と驚いている。
もともと右打者への内角直球はナチュラルにカット気味に食い込む。バットの芯を外して詰まらせるボールも、握りに秘密があった。直球は今季はここまで130キロ台が主だったが、この日は最速143キロをマーク。127球目も142キロと球威があることで、変化球がより生きた。小川監督は「ボールがすごく動いていた。よく曲がっていた。もとからそういうのが持ち味。(巨人打線は)詰まる打球が多くて、差し込まれていた」と評した。
安打5本はすべて右打者に打たれたもので、高橋由、阿部、ボウカーの左打者3人は無安打に封じた。巨人打線は打順を大幅に変更したが「あまり気にならなかったです」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。
赤川は手首の関節も柔らかく、手首を手前に曲げた時、親指と人さし指が手首の内側につく。春季キャンプを訪れた工藤公康氏(日刊スポーツ評論家)が「こんな選手見たことない」と言った特異体質の持ち主。他の誰とも違う変化球を操る「ジャイアン」に、オンリーワン投手になる香りが漂ってきた。【前田祐輔】



