<阪神2-4ソフトバンク>◇17日◇甲子園

 メッセに流出危機!?

 阪神の開幕投手で先発の軸となっているランディ・メッセンジャー投手(31)が米メジャーの複数球団から熱視線を浴びた。ソフトバンク戦の先発登板を、甲子園のネット裏でヤンキースとアスレチックスのスカウトが視察していたことが判明。今季は2年契約の2年目でオフは去就に注目も集まる。先発の柱が退団すれば虎にとって大きな損失になる。今季初黒星を喫したが、すでに5勝の優良助っ人が流出する危機にさらされる。

 メジャー球団スカウトは、明らかにアクションが違った。日本人選手のプレーは比較的、リラックスして見ていたが、198センチの長身右腕が投げ始めると、急にせわしくなる。スピードガンを握り、球速を計測。ストップウオッチも置いてクイック投法を測定するなど、念入りな調査だった。

 シーズン序盤は多くの選手を広く浅くチェックするのが主な目的だが、中でも最重要ポイントはメッセンジャーの状態確認だろう。阪神でプレーして4年目。年々、投球技術が向上する助っ人への評価は米球界でも高まる一方だ。あるメジャー球団スカウトは「米国に戻っても、そこそこやれるんじゃないか。コントロールも良くなったし、内外に散らすボールも投げられるようになった。アストロズなど、先発が弱いチームは獲得を狙うかもしれない」と評する。昨年11月にはツインズが補強リストに入れているとの米報道もあった。

 阪神でプレーした後、ジャイアンツで活躍するボーグルソンの事例もある。メッセンジャーは2回に4安打を集中されて3失点。ファウルで粘られて「ムカついたよ。早くフェアゾーンに打ってくれよと思った」と話すなど、いらだちを隠せないシーンもあった。それでも6回3失点にまとめ、米球界で先発の合格ラインとされるクオリティースタート(QS)。試合は壊さなかった。

 阪神も2年連続2桁勝利の実力を高く評価する。勝てば勝つほど、メジャーの評価が集まり、流出する可能性は高くなる。皮肉なジレンマを背負った。