来年80周年を迎えるプロ野球の記念試合として構想が練られてきた、米国での巨人-阪神開幕戦が、行われない可能性のあることが3日、分かった。球界関係者が「現状では難しいのではないか」との見解を示した。米国での公式戦開催は、かねて加藤コミッショナーが強い意欲を示してきた。巨人、阪神両球団でも、前向きに検討と準備を重ねてきたが、困難な問題点が山積しており、現時点で開催については白紙だ。

 14年シーズンのアメリカ開幕は、来年3月中旬にドジャースタジアムで巨人主催の1試合、エンゼルスタジアムで阪神主催の1試合を計画している。巨人、阪神両球団の関係者は現地視察を済ませた。事前の練習期間を含めたスケジュール、行った場合の収支、入場券販売の方法などについて精査を続けている。だが、現状では、実施に向けて具体的な進展は見ていない。

 過去に実績のない米国での公式戦については、開催ありきではなく、成功裏に興行が行えるか否かを議論すべきだ、との客観的な意見が根強い。当初から「調整のリスクが発生する」「赤字となってまで行うべきではない」などの慎重な声が球界には多い。プロ野球興行に詳しい関係者は「アメリカで試合を行う明確な大義に、収支。選手のコンディションの問題もある」と、多くのハードルを説明した。

 来季日程を編成する担当者会議は、例年7月末~8月上旬に実施される。交流戦の日程などについてセ・パ両リーグで折衝の余地があり、日程会議を9月に先送り、米国開幕の件とあわせて継続審議する予定だ。今月10日にはプロ野球実行委員会が行われる。

 ◆米国での開幕戦開催に向けた動き

 2月下旬、巨人と阪神が開催を検討していることが判明した。阪神は3月下旬、職員2人を開催候補地のカリフォルニア州ロサンゼルスに派遣し、球場や宿泊施設などを視察。阪神坂井オーナーは4月15日、「いろいろな問題はあるけれど、やる方向で検討しています」と開催意欲を示した。視察を終えて帰国した阪神南球団社長は5月7日、「あとは収支の問題だけ。数億円の赤字を出しても、やる意義はあるのか。集客、コストなどを精査中。収支をたたいて6月くらいまでに(開催の可否を)判断しなければ」と語った。