<オリックス0-1楽天>◇15日◇京セラドーム大阪

 星野仙一監督(66)の妙手で、楽天が球団初の首位ターンを決めた。0-0の9回、枡田慎太郎内野手(26)がオリックス佐藤達から決勝の2号ソロを放った。枡田は、7回から左翼の守備に入っていた。今季ここまでスタメンでない試合は代打での起用しかなかったが、初めて守備から使われ結果を出した。敗れた2位ロッテと3ゲーム差。球宴まで2試合を残し、前半戦の首位が決まった。

 うぐいす嬢のコールが、いつもと違った。0-0の9回の攻撃。先頭で「6番、レフト枡田」とアナウンスされた。「代打枡田」ではなかった。これまで途中出場の時は、必ず代打起用。この日は7回の守備から入っており、初めての打席が回ってきた。速球を武器とするオリックス佐藤達に対し「100%、直球で待つ。変化球で空振りならしょうがない」と腹をくくった。4球目。直球148キロを引っ張り、右中間に決勝ソロを放った。

 投手戦にケリをつけ、前半戦首位が確定した。星野監督は「今日は投手だ。長谷部が良かった」と6回無失点の先発左腕を持ち上げ、枡田のソロにはあまり関心を示さなかった。だが、さりげなく決勝弾を呼び込むアシストをしていた。

 左腕井川の降板を受け、7回裏から右打ちの中島に代え、左打ちの枡田を起用した。通常の交代のようで、タイミングに意味があった。「代打を打つのは、慣れたヤツじゃないと集中できない。どうせ使うなら、(守りから)慣らして試合に入らせる」という狙い。枡田の代打成績は、今季5打席で3打数無安打(1犠飛、1四球)。通算も11打席で9打数無安打と安打はない。守りから使い、打撃のリズムを呼び覚ました。

 その際、リスクを恐れなかった。お互い無得点の展開。1つの失策が負けにつながる危険もあったが、枡田は守備の人ではない。本職は内野で、昨季は10失策。それでも使ったのは、4番を任したほどの打撃ゆえ。その打撃を生かそうと、今春キャンプから外野守備に取り組ませ、今季は左翼のスタメン起用が増えた。

 守りからの起用に、枡田本人は「そんなに変わりません」と、全力プレーを貫いた。星野監督は「たまたま、うまくいった」と答えたが、目は笑っていた。試合前には「2位と何ゲーム差だ?

 気にしたこともない」と漏らしたが、気が付けば3ゲーム差。臨機応変の采配で、じわりじわりと抜け出した。【古川真弥】