守備の名手、ヤクルト宮本慎也内野手(42)が今季限りで現役引退する意向を固めたことが24日、明らかになった。プロ19年目の今季は78試合に出場し、打率2割4分8厘、12打点。若手の台頭もあり先発を外れる機会が多くなり、この日の広島18回戦(マツダスタジアム)も出番はなかった。近日中にも引退会見を開き、ファンに直接報告する見込みだ。

 ヤクルトだけでなく、日本野球界も引っ張ってきた宮本が、ユニホームを脱ぐ決意を固めた。この日、去就について聞かれ「もう決めました。あらためて、きちんとお話しさせていただきます」と語った。すでに両親や関係者には報告を済ませており、近日中にも引退会見を開く。

 94年、高い守備力を買われてドラフト2位で入団した。プロ入り後には配球を読む力や、進塁打、犠打など打撃を磨き上げた。12年5月4日の1976試合目で、当時としては史上最年長記録を更新する41歳5カ月で通算2000本安打を達成。ゴールデングラブ賞10度獲得の名手は、歴史に残る好打者にもなった。ヤクルトで3度の日本一を経験。04年アテネ五輪、08年北京五輪では日本代表の主将としてチームをまとめ、06年WBCでは初優勝に貢献。6代目の労組日本プロ野球選手会の会長を務めるなど、名実ともに球界を代表する選手としての地位を築いた。

 19年目の今季は「年齢も年齢だからクビをかけて争う」と、並々ならぬ決意で臨んでいた。2000本安打を達成した昨季、引退も考えた。だが同9月に「小川監督の来季就任が決まってすぐ、電話で『一緒にやろう』と言っていただいた。今年の成績で来年もやる気持ちはなかったけど、監督を胴上げするために、あと1年頑張ろうという気持ちになった」と現役続行を表明した。コーチ兼任だが、シーズン中は選手業に専念。「勝負の世界なので譲ることはないけど、若い選手が出てこないと優勝できない」と、12年ぶりのリーグ優勝に向けてすべてをささげる覚悟だった。

 だが、開幕から調子が上がってこなかった。今年11月で43歳。1月の自主トレでふくらはぎに違和感を訴えるなど、肉体も万全とは言えなかった。しかもチームは5月から低迷。若手を積極的に起用する方針へと転換したこともあり、スタメンを譲ってベンチを温める機会が増えた。勝負どころでの代打はあるが、名手の守備機会は激減した。

 それでも妥協せずに黙々と練習する姿は、よき手本となっていた。42歳8カ月でのファン投票選出というセ・リーグ最年長記録でオールスターに出場。先発出場の機会は減っても存在感は健在だが、それが苦悩にもなった。「レギュラーでもないし、規定打席にも達していないから申し訳ない。若い選手にチャンスをつかんでほしい」と、漏らしたこともあった。

 現在、チームは最下位ながらも、クライマックスシリーズ(CS)進出の望みをまだ残している。シーズンが佳境に入る前の周囲に迷惑がかからないこの時期に、進退を表明するに至ったとみられる。ヤクルト一筋の現役生活に、今季限りで終止符が打たれる。