<オリックス8-0日本ハム>◇28日◇京セラドーム大阪

 ホームランのち酸欠…。オリックス糸井嘉男外野手(32)が予想もつかない動きを見せた。3回に自己最多となる16号3ランを放ったが、酸欠による目まいを訴えて途中交代。今日29日の日本ハム戦出場に影響はない模様だが、体調不良の中でV弾を放つとは、予測不能な男だ。

 ヒーローはトレーナー室で横になっていた。4連勝に沸く一塁ベンチの裏。糸井が酸素ボンベを吸っていた。ホームランのち酸欠…。予想がつかない糸井ワールドが、そこにあった。

 3回裏の打席だ。日本ハム吉川の直球をとらえた。打球は右中間スタンドに飛び込む先制3ラン。自己最多の16号だ。決勝の一打になるのだが、不可解なシーンがあった。7回に代打縞田を送られ、ベンチに退いた。実は直前に、「目がチカチカする。頭痛もする」と目まいの症状を訴えていた。トレーナー室で酸素を注入。次第に体調は回復したという。野間チーフトレーナーは「安静にして、体調が戻ったので、明日も大丈夫だと思う」と軽症を強調した。

 京セラドーム大阪で酸欠と言えば、井川だ。阪神時代の03年に体調を崩し、ベンチ裏に酸素ボンベが用意されたほど。身体能力の高い糸井が同じ症状を訴えるとは…。そんな状況で、右中間に1発を放り込むなんて、やはりただ者ではない。森脇監督は「ヨシオにも、たまには休息を与えてやってよ。全く問題ない」と話すにとどめた。糸井の先制弾がチームを勢いづけ、4連勝。わずかではあるが、Aクラス入りの可能性を残した。

 試合後、私服に着替えた糸井は、軽快に歩いて車に乗り込んだ。「帰って、すぐに寝ます」。トレーナー室にあった携帯用の酸素ボンベを持ち帰ったらしい。【田口真一郎】