左打者も怖くない!

 阪神藤浪晋太郎投手(19)にメスが入った。秋季キャンプで、踏み出す足が三塁側に入るインステップの矯正に着手。約30分間、中西投手コーチからマンツーマン指導を受けた。改造が成功すれば、故障のリスクが減るだけでなく苦手としていた対左打者への大きな武器になる。

 足元には目安となるゴムチューブが敷かれ、藤浪は中西コーチに右膝を押さえられた。昼下がりの室内練習場。付きっきりで約30分、計64球のネットスローを繰り返した。練習を終えた右腕はすがすがしい表情で「言葉にするのは難しいですが下半身の使い方ですね。(位置を変えても)そんなに違和感はありません。もともと、出来たり出来なかったりという部分だったので、それを固めていきたいと思います」と方向性を見いだしていた。

 中西コーチが「右足の方向性と動き、使い方。左足は一切触っていない」と説明したように、インステップの要因となる2点に意識を集中させた。(1)足を上げた後、右膝が沈み重心が前に傾く(2)プレートに並行に足を掛けるの2点。踏み出す足ではなく、意識レベルに訴えたことで、本人の違和感も少なかった。

 苦手攻略の糸口となる。藤浪は今季対右打者の被打率1割9分4厘に対し、対左打者は2割8分3厘と苦しんだ。右打者には内角をつけたが、左打者には投げきれず、甘く入っては痛打を食らう傾向があった。改造がはまれば、右打者の外角低めにも強いボールが投げられるだけでなく「左打者の懐のボールが効いてくる」と中西コーチ。150キロオーバーの球速で胸元をえぐれば、伝家の宝刀スライダーも威力が倍増する。

 現状の踏み出す位置は本来のステップから約3足分、三塁側。今後も1日おきにフォーム矯正を行い、徐々にスクエアなステップに近づけていくという。坂道ダッシュなど、体力強化のメニューも並行して行っているが「メリハリをつけてやっています」と表情は明るい。10勝を挙げても満足などない。さらなる高みを目指し、19歳は進化を続ける。【池本泰尚】