もう優勝が見えた!?

 広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22=九州共立大)が2日、宮崎・日南キャンプで初めてブルペンに入った。捕手の背後には松田オーナーに野村監督、昨季限りで現役引退したOBの前田智徳氏(42=野球評論家)らがズラリ。物々しい雰囲気の中、抜群の制球力を披露し、チーム内外から高評価された。「特に背伸びしようとは思いませんでした。初ブルペンは想像以上に力が入ると思ったので、1つ2つ力を落として投げました」と、力むことはなかった。

 明確な目的を持っていた。カーブ3球を交え31球。初めてプロ審判のジャッジを受ける機会に、ボールと判定された理由を身ぶり手ぶりで審判に尋ねる場面もあった。「プロはボール半個から1個分、ゾーンが狭いと聞く。内、外を投げ分けて、どこが違うのか確認したかった。思った通りでした」との納得顔が頼もしい。

 簡単にギリギリのコース、高さを突く姿はライバル球団の表情を曇らせた。阪神御子柴スコアラーが「大崩れしない」と警戒感を強め、中日筒井スコアラーも「バラつきがない。コントロールで苦しむことはないな」と分析。最速153キロの直球はもちろん、精密機械のような制球力にも注目が集まり始めた。

 初めて大瀬良の投球を視察した松田オーナーも、当然ご機嫌だ。「すごく心が豊かになった。みんなに会う度に優勝じゃ、と言っているけど、優勝できるんじゃないか、という気がしてきた」と、満面の笑みを浮かべた。大瀬良の出現が、カープ23年ぶりV奪回への機運を着実に高めている。【佐井陽介】