阪神が新外国人候補の調査のため、渉外担当を渡米させることが25日、分かった。近日中に担当者が米国に向かい、米大リーグの春季キャンプを視察。大砲タイプの選手も調査する。今季から新加入した4番候補のマウロ・ゴメス内野手(29=ナショナルズ3A)はキャンプインに間に合わず、初実戦予定だった23日の中日戦(北谷)を右足の張りで回避。調整は遅れ、開幕に向けて不透明な状況だ。あくまでゴメスの状態が上向くのを待つが、緊急時に備えてリストを練る。

 4番候補の新助っ人に暗雲が垂れ込め、V奪回を目指す阪神は非常事態に備えて動きだす。近日中にも渉外担当が米国に飛び、新たに外国人候補をチェックすることになった。依然として、今季から加入したゴメスの状態が上がらない。右足の張りが続き、この日も宜野座キャンプの本隊から外れて、トレーニング室で軽く調整しただけ。本格的な打撃や守備も行わず、周囲の不安は募る一方だ。

 結局、沖縄で実戦デビューせず、肝心の長打力などを首脳陣がチェックすることもできなかった。打順の適性など、戦力としての見極めすらできない苦境に陥っている。パンチ力を買って獲得し、大砲として期待している。球団首脳が新助っ人の獲得について「基本はない」と話すように、あくまでゴメスの状態が上向くのを待つ方針だが、先行きは読めず、最悪の事態も想定する必要はあるだろう。

 米大リーグのキャンプは3月に入ればオープン戦が本格化する。開幕メジャーから漏れる有力選手の動向を探る、例年通りの渡米だが、重要な調査になりそうだ。あるメジャー球団関係者はゴメスについて「ゼロか100の選手。つまり、成功するか、失敗するかのどちらか。メジャーでもあまりプレーしていないし、リスクのある選手」と評する。日本球界に対応できれば大活躍できる要素があるが大失敗の補強に終わる可能性もある。昨季、チームはリーグ最少の82本塁打にとどまった。ゴメスの加入は破壊力アップの目玉補強。“空振り”に終われば戦力構想は揺らぐ。

 近年はヤクルト・バレンティンやDeNAブランコら、中南米系の選手が日本球界で活躍し、阪神もドミニカ共和国出身のゴメスに白羽の矢を立てた。チームの浮沈をかけた存在だが、和田丸がともに沈むわけにはいかない。ゴメスのお目覚めを待ちつつ、新たな補強への備えは怠らない。

 ◆開幕後に入団し活躍した外国人打者

 87年4月ヤクルトに加わったホーナーは、デビュー2試合で4本塁打し、シーズン計31本塁打。「ホーナー現象」を巻き起こす人気となった。88年5月中日入りしたブライアントは同年6月近鉄に移籍。わずか74試合で34本塁打と大暴れした。89年6月西武入りのデストラーデは、左右両打席からのパワフルな打撃で32本塁打。阪神では、前西武のブラゼルが09年5月に日本復帰し、16本塁打を放った。