<ヤクルト8-15阪神>◇6日◇神宮
阪神マウロ・ゴメス内野手(29)の集中力が研ぎ澄まされた。8回1点差に迫り、なお1死一、三塁。ヤクルト山本哲の直球に食らいついた。打球は三塁手のグラブの先をかすめて三遊間へ。背番号5が巨体を揺らして全力で一塁を駆け抜けた。
「打点を挙げるチャンスだったけど、そういうことは考えずに打てる球を打つことだけを考えた」
同点の内野安打で流れを引き寄せると続くマートンが決勝3ラン。開幕から猛虎打線をけん引する「GM砲」が試合をひっくり返した。7回にも2点適時二塁打を放ったゴメスは開幕から9試合連続安打。06年のシーツに並ぶ虎助っ人史上最長となった。9回にも右前に適時打を放ち、3打席連続適時打で初の猛打賞、4打点を稼いだ。
「自分でもよくわからないけど、いつも全力で取り組もうと思っている」
初めての日本球界で開幕から結果を出し続けている。ゴメスはひたむきさを強調したが、柔軟な思考にも要因があるようだ。まだ、開幕から3カードを終えただけ。出てくる相手は知らない投手ばかりだ。そこでゴメスは“マートン・ノート”に頼っている。
「スコアラーさんからもらったデータにも、もちろん目を通すけど、僕より長く日本でやっているマートンがどういう球を投げるとかいろいろ教えてくれる。すごく助けになっている」
マートンが来日1年目から相手投手の持ち球、配球の傾向や、クセなどメモしていたことは有名だが、ゴメスは先輩の4年分の財産を最大限に活用している。助っ人の中には自分のスタイルにこだわりも持ち、周囲に耳を貸さない選手もいる。ただ、ゴメスは結果が出なかった開幕前にはタイミングの取り方を変えるなど「聞く耳」を持っていることが特徴だろう。
まだ、1発こそないが、ボールに食らいつき、マートンにつないでいる。日本球界への適応は順調に滑り出した。あとは打球が上がるのを待つだけだ。【鈴木忠平】



