<DeNA2-5阪神>◇17日◇横浜

 夢が早くも現実となった。阪神の梅ちゃんこと梅野隆太郎捕手(23)は、いつもよりちょっぴりハッスルした。マウンドにはガチガチに緊張する岩貞がいた。女房役として懸命にリードするのは当たり前。そして、同期の絆がある。同じルーキーでもプロ67試合目。こまめに声を掛け、大きなジェスチャーで鼓舞した。帰りのバスへ向かう通路。盟友がお立ち台で「梅野が良かった」と話したことを聞くと、ようやく笑った。

 「そういうところで勝ちたい気持ちは、お互い強かった。しっかり引っ張れたのは良かった。大学2年から一緒の仲。タイガースで1勝できて、本当にうれしい」

 持ち前の「打」でも大きく貢献した。8回2死だった。リードは2点。5回から追加点がなく、風向きが微妙になっていた。

 「最近バットの出がだいぶ良くなってきていた。しっかり切れずにいってくれて良かった」

 左腕林の外角フォークに踏み出し、力強く逆方向へたたいた。右翼ポール際へ伸びた打球は切れずにスタンドイン。7月11日巨人戦以来の第7号は、貴重な5点目となった。和田監督もその働きぶりに拍手した。

 「今日は特に思い入れがあっただろうからね。あの1発が大きかった。何が起こるか分からんからね」

 福岡工大城東2年の夏、熊本・必由館の岩貞と練習試合をした。バックスクリーンへの満塁弾を見舞った相手とは、大学2年から大学代表候補で一緒だった。1月の新人合同自主トレのころには「同い年として、そういう気持ちはある」と同期バッテリーでの勝利を夢見ていた。岩崎に続いて同期のプロでの勝利をアシスト。「岩貞がしっかり投げてくれた。両サイドをつけたと思う」。頼もしき扇の要が二人三脚で、黄金バッテリーへの1歩目を歩み始めた。【近間康隆】