西武が来季監督に潮崎哲也2軍監督(45)を昇格させる方針を固めたことが13日、明らかになった。シーズン終了後にも正式決定し、発表される見込み。今季、伊原前監督(現アドバイザー)の途中休養後に指揮を執った田辺徳雄監督代行(48)は別ポストで球団に残ることが確実。西武の黄金時代を支え、引退後は投手コーチ、スカウト、2軍監督など各セクションで経験を積んできた潮崎新監督に再建を託す。

 西武が黄金時代復活へ勝負手に出る。この日、居郷球団社長が来季の監督人事について「候補になるのは、うちの場合は生え抜き。(候補は)そんなに多くはいない」と、OBから人選していることを明言した。現場の人事の責任者である鈴木本部長は「完全に固まったわけじゃない」と話しているが、この日までに潮崎2軍監督に一本化。今後は細部を調整し、シーズン終了後に正式決定、発表する。

 今季は伊原監督を迎えて臨んだが開幕ダッシュに失敗。成績不振のため交流戦中の6月4日から休養に入った。打撃コーチだった田辺監督代行に急きょシフト。突然の交代劇だったが、選手との対話重視の采配で一時は4位まで押し上げた。

 だが借金13からのバトンは重くのしかかった。この日の敗戦で借金は16の最下位に転落。居郷球団社長は「残りの試合で大きな連勝があれば話はまた別」としながらも「借金が8ぐらいだったら、そのままという流れになっていたかもしれない」と現状では田辺監督代行の昇格を否定した。

 潮崎2軍監督は現役引退後、1、2軍のコーチ、スカウトを経て、昨年2軍監督として3年ぶりに現場復帰し、若手育成に尽力してきた。「2軍から上にいった選手のプレーを見るのが楽しみ。親のような気持ちになる。それがこの仕事の醍醐味(だいごみ)」と若手の成長をサポートし、見守ってきた。温厚な人柄に加え、現役時代から甘いルックスでファンに絶大な人気を誇る。手腕のみならず集客面での期待も大きい。

 さらに居郷球団社長は球団の将来的なビジョンにも言及。昨季までの監督で、今季から就任した渡辺シニアディレクター(SD)について「まだ(SDを)1年しかやっていない。鈴木さんの後をやってもらわないといけないわけだから」と、将来的な構想として渡辺SDの本部長就任プランも明かした。

 08年を最後に日本一から遠ざかっているパ・リーグ屈指の伝統球団が復権へ新体制で動きだす。

 ◆潮崎哲也(しおざき・てつや)1968年(昭43)11月26日、徳島県生まれ。鳴門-松下電器(現パナソニック)。88年ソウル五輪代表。89年ドラフト1位で西武入団。シンカーを武器にした横手投げ。90年7月5日オリックス戦で新人最多タイの8連続奪三振。リリーフ中心から先発に転向した97年は、先発21試合(5完投)で12勝を挙げ防御率リーグ3位(2・90)。90~04年の現役通算15年で523試合、82勝55敗55セーブ、防御率3・16。93年日本シリーズ優秀選手。引退後は05、06年編成部-07~10年投手コーチ-11、12年編成部を経て昨季から2軍監督。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸2000万円。